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(4)家族で作る愛情たっぷりのメンチカツ「にらメンコ。」

(4)家族で作る愛情たっぷりのメンチカツ「にらメンコ。」

2018年7月7日
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昭和の風情が残る大井手川。2016年6月の大雨で川が氾濫し、近隣の商店街のほぼ全戸が浸水しましたが、住民の皆さんの復旧・清掃活動で以前と変わらぬ川の景色を取り戻しました

町の中心部を流れる大井手川は、豊かな水をたたえています。ここは加藤清正が造った農業用水路で、以来400年にわたり、周辺の田畑を潤しています。春には、町の中に江戸時代から続く初市が立ち、多くの人でにぎわいます。

かつてこの大井手川沿いにあった創業100年以上の老舗の「高田精肉店」は、一昨年の熊本地震で被災しました。

大井手のほとりは手入れが行き届いています

地震直後、店主の高田裕三さん(55)と妻のくるみさん(55)、そして長女の侑希奈(ゆきな)さん(26)たちは、町や商工会が実施した避難所の炊き出しにキッチンカーで参加し、看板商品であるニラのメンチカツ「にらメンコ。」を無料で振る舞いました。たちまち長い行列ができ、感謝の言葉が途絶えることがなかったことが忘れられないと言います。

「自分が思っている以上に、この商品はみんなに愛されているんだと実感しました。そのことから、勤めていた会社を辞めて、両親とともに家業に専念することを決めました」と侑希奈さん。

「高田精肉店」の高田侑希奈さんと母親のくるみさん。代表の裕三さんは、キッチンカーで営業中で不在でした

地震から8カ月後、国道443号沿いに新店舗を移転オープン。今年7月には東京から長男の裕大さん(23)も帰郷する予定で、家族一丸となって店を盛り上げます。

「地震で失ったものもたくさんありますが、家族の絆は深まりました。これまで支えてもらった地元の皆さんに恩返しをしたいんです」と侑希奈さんは力強く話してくれました。

さて評判の「にらメンコ。」ですが、その素材はぜいたくなものです。九州産の黒毛和牛を使った合いびき肉に、甲佐町特産のニラがたっぷりと入っています。ジューシーなうまみとニラの香りに、口に含むと自然と笑みがこぼれます。

甲佐町特産のニラ入りメンチカツ「にらメンコ。」(1個180円)。イートインスペースで食べると、おいしさひとしお

被災した人たちに生きる希望を与えた「にらメンコ。」には、この町を愛する家族の情熱が込められている気がします。そして、そのおいしさは無敵です。

日が落ちる頃、再び大井手川沿いを歩いてみました。柳並木を揺らす暖かく湿った川風に、本格的な夏の始まりを感じました。

高田精肉店

 

甲佐町の旅のおみやげ「マシュマロ」・「井戸江峡(いどえきょう)万十」

甲佐町で50年以上親しまれている「池田製菓舗」。マシュマロ生地にカステラの角切りを混ぜ込んだ「マシュマロ」(80円)は、ふんわりとした優しい甘さでやみつきに!

梅入りまんじゅう「井戸江峡(いどえきょう)万十」(150円)は、梅の甘酸っぱい香りが口の中に広がります。

梅の甘露煮が丸ごと入った「井戸江峡万十」(手前)と「マシュマロ」

「池田製菓舗」3代目の池田実さん(48・右)と母親の和子さん(72)

池田製菓舗

 

旅の終わりに・・・

町のいたるところで水の音が聞こえる甲佐町。川の上に立つ、かやぶき屋根のあずまやでアユが味わえるやな場は、今ではインスタ映えスポットとして若い人にも人気だとか。きっとお殿様もびっくりしているでしょうね。