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(1)風情あるやな場で アユ料理に舌鼓

(1)風情あるやな場で アユ料理に舌鼓

2018年7月7日
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加藤清正によりつくられた「鵜の瀬堰」。緑川を斜めに横切り、堰で導かれた水が「梁の樋門」を通って大井手川として流れ、下流の水田を潤します

肥後の甲佐はナ
肥後の甲佐は鮎なら名所
ソレよいよいよいとせのせ
お梁落鮎見においでサテ見においで
ソレよいよいよいとせのせ
(野口雨情作詞「甲佐歌謡」)

国道443号を南へ走り、甲佐町へ。初夏の草の匂いが立つ緑川の河川敷では、6月に解禁されたアユ釣りを楽しむ人たちの姿が見られます。

緑川は昔から地域の人々の暮らしを支えてきましたが、川が氾濫することも多く、江戸時代の初めに加藤清正が治水工事を行いました。「鵜の瀬堰(うのせぜき)」や「梁の樋門(やなのひもん)」などがそうで、400年以上も前につくられた水の遺産が今もあちこちに残り、こけむした石積みにその歴史を感じます。

やな場の駐車場脇にある緑川製糸場の記念碑。同工場は富岡製糸場に次ぐ規模だったそうで、徳冨蘇峰、蘆花の姉・音羽も指導員として勤めていました。記念碑の碑文は蘇峰によるものです

1608(慶長13)年に建設された「鵜の瀬堰」を訪ねました。川の流れを切り替えるこの堰は、直径が1メートルほどもある大きな重い石を、川を斜めに横断するように人力によって敷き詰めたと伝えられており、命がけの大工事だったことがうかがえます。

川風が気持ちいい甲佐町のこの季節の楽しみは、アユ料理。毎年6月から11月までのアユが捕れるシーズンに、やな場がオープンします。

「やな」とは、川の一部に竹を組んで堰をつくり、水の流れを引き込んで、竹で編んだすのこに落ちてくる魚を捕る伝統漁法です。甲佐町のやな場では、毎年地元の皆さんが、切り出した青竹を使って、すのこをしつらえます。

タデ酢で食べるアユの塩焼き(手前)とアユのみそ焼き(いずれも600円~)。コース料理は、2484円から

風情あるやな場。シーズン中は混み合うので、予約してから訪ねるのがベター

甲佐町のやな場の歴史は古く、細川家の初代熊本藩主・忠利公の意向で1633(寛永10)年につくられたと伝わります。以来夏になると、代々の藩主がアユ料理を楽しみに訪れていたそうです。

風情あるかやぶき屋根のあずまやにいると、涼やかな清流の音が全身を包み込みます。香ばしく焼き上がったアユの塩焼きのおいしさは格別で、ピチピチとはねるアユを見ながら、料理に舌鼓を打てば、すっかり夏が来たことが実感できます。

〝香魚〟とも呼ばれるアユ。これからどんどん脂が乗っておいしくなります

甲佐町やな場のスタッフのみなさん。左から、髙島真里亜さん(44)、代表の米村征一郞さん(74)、米村心桜(みお・11)さん、米村宙(ひろし・48)さん

甲佐町 やな場