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(2)築130年の自宅を改装 ユニークな私設博物館

ブータンの機織り機

(2)築130年の自宅を改装 ユニークな私設博物館

2018年3月17日
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吉岡さんのご自宅を改装した私設の図書館兼博物館「来民文庫」。養蚕や農耕、仕事着など、暮らしにまつわるものが展示されています

鹿本町の歴史を知ることができるのが「来民文庫」。ここは、元高校教師の吉岡威夫さん(79)が退職後、築130年の自宅を改装してつくった私設の図書館兼博物館です。

居住空間として使われる母屋=1885(明治18)年の建造=を含め、敷地内にある6件の建造物が国登録有形文化財になっています。

「主屋」「江戸蔵」「明治蔵」「かすり資料蔵」などに、蔵書約20万冊と、国内外から集められた約1万点の民具・農具、藍染絣、国内外の仕事着など約1万点が収蔵されています。

展示される民具の中には、深耕鋤(しんこうすき)など、菊池川流域の乾田事業にまつわるものもたくさんあります。

郷土史から文庫本、アサヒグラフといった雑誌がテーマごとに分類されています

阿弥陀如来像が安置された「吉岡家住宅阿弥陀堂」

養蚕に使われていた道具をはじめ、民具や農具など、各地の道具が展示されています

「かすり資料蔵」。手織りの絣生地のほか、吉岡さんが牛深高校赴任中に牛深町のおばあさんから譲り受けたというドンザ(漁師の仕事着)など、約1万点が展示されています

「この辺はもともと、米しか取れん“じゅったんぼ(湿地)”でした。御宇田台地の開拓農民としてやってきた先祖が、新田開発の許可を得て湿地や沼地を乾田化し、麦作用の耕地を広げたと聞いています。『米は小作米として差し出すけれど、麦は自分たちのものになる』というわけです。曽祖父の代からは養蚕業にも力を入れていたそうです」。吉岡さんは、今も無農薬の米作りに取り組んでいます。

吉岡威夫さんと妻の孝子さん(79)は大学時代からの同級生。赴任先の高校で再会したのがきっかけでゴールインしたのだそう

越屋根=採光や換気のため、棟をまたいで一段高く設けた小屋根=のついた母屋の居間には、石をくり抜いて作った火鉢がありました。

明治時代にこの界わいで盛んだった「御座敷養蚕(おざしきようさん)」の名残です。3つの石火鉢に炭をくべ、室温を常に24度に保つことで蚕の成長を促し、生産量を伸ばしていたと聞きました。真っ黒にいぶされた梁や天井がそのことを物語っていました。

ここでは、地域や吉岡家に伝わる代々の暮らしを感じることができ、時間が過ぎるのを忘れてしまいます。

ブータンの機織り機。菊池川流域はもとより、国内外の農業発展を支えた農具など興味深いものがたくさんあり、ついつい長居をしてしまいます

来民文庫