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(3)趣味が高じてそば店オープン 石臼びき粉で本格手打ち

(3)趣味が高じてそば店オープン 石臼びき粉で本格手打ち

2018年2月17日
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JR木葉駅近く。風に揺らぐのれんと格子戸が目印の「そば是 上々吉」

JR木葉駅前で格子戸にのれんが揺れる店を見つけました。「そば是 上々吉(そばこれ じょうじょうきち)」は、石臼で手びきした手打ちそばを提供しています。

「この店名は『この上なくいいそばです』、という意味なんです」と笑顔で迎えてくれた井上枯淡(こたん)さん(70)。宮崎県出身の井上さんは、かつて新幹線工事の現場監督として玉東町に赴任しました。仕事が休みの日は、波野や小国へそば打ち体験に出かけるのが何よりの楽しみになっていたという井上さん。趣味に没頭するあまり、62歳で退職した後は福岡のそば店で修業し、住み慣れた玉東町で開店しました。

もとは倉庫だったという空間を、熊本地震で被害を受けた日本家屋の部材を生かして改装。アンティークのテーブルやイスと組み合わせ、ステキな雰囲気に

「ラジオ用の顔だけど(笑)」と言いながら、いい笑顔で写ってくれた井上枯淡さん

「そばよりもうどん派だったんですが、主人が作るそばツユはすっきりとした味でおいしくて。それ以来、そばの方が好きになりました」とは、一緒に店を切り盛りする妻の佐代子さん(65)です。

佐代子さんも太鼓判を押す井上さんのそばの魅力は、そばの味わいが生きていること。その時季の最良のそばの実を選び、毎朝、石臼でひいたそば粉を使うことが、味と香りのいい麺を作る秘けつだといいます。一度ひいたそば粉はふるいにかけ、さらに石臼でひき、手間と時間をかけて仕上げていきます。

写真は井上さんおすすめの「せいろ十割」1000円。「せいろ二八」は700円

「電動石臼だと均一になりすぎるから、市販のそば粉と変わらなくなるでしょ。産地やそばの実の状態に合わせて、ひき方を変えているのもおいしいそばの理由だと思います。そばと向き合う時間は、損得を離れ無心の境地。まさに至福の時ですね(笑)」。豪快な笑い声に、好きな仕事に熱中できるうれしさがあふれています。

この日いただいたのは、「十割そばと小天丼のセット」。メニューに書かれたおすすめの食べ方の通り、まずはそばだけでいただきます。十割そばは味も香りも強く、何も付けなくても味わいがあります。次は、キリッとやや辛口のツユを付けて。佐代子さんが言うように甘味を抑えたツユは、そばの味・香りを邪魔しません。最後に、薬味の辛味大根を加えていただくと、ピリッとした辛味がそばの持つ甘味を引き立てます。

そば粉のひき方からツユの作り方まで井上さんのこだわりが満載。お客さんのほとんどが、遠方からわざわざ訪れる「そばファン」というのも納得です。

そばのおいしさはもちろんですが、夫婦の息の合った接客が心地いいお店です。

「かけはツユで食べさせる」と言われる「かけそば」700円。ダシの香りがたまりません

そばとセットにできる小天丼550円。「せいろ十割」とのセットは1500円、「せいろ二八(大盛)」とは1400円に

そば是 上々吉