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(2)山の湧き水でヤマメの養殖 昔ながらの木炭作り

木炭の材料となるカシの木

(2)山の湧き水でヤマメの養殖 昔ながらの木炭作り

2017年11月18日
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県道25号沿いの山奥に架かる鹿路(ろくろ)橋。鹿も多く出没する地域

河俣川沿いの県道25号を球磨郡五木村方面に上っていくと、山深くなっていきます。

「坂より上(さかよりかみ)」という地区では、かつての簡易水道施設貯水池跡で「東陽地域山村活性化協議会」によるヤマメの養殖が行われていました。

武内さんたちがエサをやると、クルクルと群れて輪を描くヤマメ

管理しているのは武内設雄さん(72)と浩子さん(70)夫妻です。

「稚魚から育ててます。朝と夕方にエサをやりに来ると寄ってくるけん、かわいかですよ。でも食べたらもっとおいしか(笑)」と設雄さんが豪快に笑います。

「ヤマメの世話があるけん、なかなか2人で旅行には行けんたいね。ばってん、苦にならんよ」と妻の浩子さん。ここで育ったヤマメは、町のイベントなどで塩焼きなどに料理されて提供されます。

ヤマメの養殖を管理している武内設雄さんと妻の浩子さん

山間のこの地域では林業をなりわいとする人も多くいます。先祖代々林業を営んでいるという中村義雄さん(66)は、仲間と一緒に山仕事の合間を縫って木炭を作っています。

左から中村義雄さん、中島和生さん、岡崎実さん

「木炭の材料は主にカシ。木の密度が高くて硬いけんね。昔は炭焼きをする人が多かったばってん、今じゃほとんどいなくなってね。この文化ば残さんといかんと思ってみんなで始めたとたい」と中村さん。

木炭の材料となるカシの木

山の中腹にある炭焼き場の大きな炭窯の中には木が詰められ、すでに火が入れられていました。入口は赤土でふさいであり、1週間から10日ほど焼かれ、それからさらに1週間ほど冷まして木炭が完成するそうです。

「最初は地区の長老に教えてもらいながらの木炭づくりだったばってん、今じゃ、質のよか木炭ができるようになった」と岡崎実さん(67)が満足げに話します。

山の中腹にある炭焼き場

赤土で作られた大きな炭窯には火が入れられていました

火入れの期間、夜中に窯を確認に来ると、暗闇の中に青白い美しい火が窯の中を走るように燃えていて、それはそれは幻想的で美しい光景だそうです。

みんなで窯の前に集まると、岡崎さんが木炭で火をおこしてくれました。チリチリと炭火がはねる音に耳を傾けながら暖をとると、ほんわかとした気持ちになってきます。

みなさんが手作りした炭に火をおこして

猟師でもあり、山に詳しい中島和生さん(62)と、正月のお鏡飾りに用いる「ウラジロ」を探してみることにしました。ウラジロはシダの一種で、枝葉が一対となったもので、その名の通り、葉の裏が白くなっています。

枝葉が一対にわかれている「ウラジロ」 ついた「白滝公園」

山道を探しながら歩いていたら、キュンキュンと鳴く声が聞こえてきました。どうやら鹿が山中に潜んでいるようです。「あれはね、仲間に『危ないぞ』と合図ばしよっと」と、猟師の中島さん。われわれの気配に気づいたのでしょうか。山を守るための害獣駆除、一方で山で生き抜く動物たちの必死さ…。深い山奥ではこれから寒い冬が始まります。