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(1)松明に浮かぶ 幻想の舞台 秋を告げる 奉納の薪文楽

薪文楽

(1)松明に浮かぶ 幻想の舞台 秋を告げる 奉納の薪文楽

2017年8月19日
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阿蘇都比咩命(あそつひめのみこと)を祭ることから「姫宮」、阿蘇の一の宮に対して「二の宮」とも呼ばれていた「大川阿蘇神社」

阿蘇の南外輪山と九州脊梁の山々に囲まれる山都町清和地区。深い緑に覆われた山並みは清々しく、頬に当たる風もひんやりとしています。澄んだ空気に包まれるだけでも、清和を訪れたかいがあります。

「文楽の里」とも呼ばれている清和。地域の伝統文化として大切に守られているのが「清和文楽」。その発祥の地が「大川阿蘇神社」です。

清和文楽は、江戸末期の嘉永年間(1850年ごろ)に、この地を訪れた淡路の人形芝居の一座から村人が人形を買い求め、技術を学んだのが始まりだと伝わっています。

農家の人々で一座を作り、畑仕事の合間に練習を重ねながら、「大川阿蘇神社」の農村舞台で奉納芝居を上演していました。それは今も続く伝統です。

明治時代に建てられ、昭和28年に現在の地に移築された「農村舞台」は、平成17年に国の登録有形文化財に指定されました。平成25年には梁や柱の骨組みを残して、当時の材料と同じものを調達して補修され、今も現役の舞台として使用されています。

境内が客席になる「農村舞台」。天井を見上げると、「国の登録有形文化財」のプレートが掲げられています=大川阿蘇神社

奉納文楽は一時途絶えましたが、平成5年に復活。現在は、9月に例大祭、10月には「薪文楽」で、人形浄瑠璃を農村舞台で上演しています。

「屋外の舞台なので文楽館(室内)とはまた違った雰囲気が楽しめますよ」と、宮司の渡邊民生さん(70)。

一年の農作業が一段落する秋。収穫への感謝の気持ちを込めて奉納される文楽は、地域の人々の楽しみの一つです。

松明(たいまつ)に照らされ、浮かび上がる「薪文楽」の幻想的な舞台。目の前に繰り広げられる物語は、見る人をしばし夢の世界へと誘ってくれることでしょう。

「大川阿蘇神社」の農村舞台で、昔ながらの人形浄瑠璃が見物できる「薪文楽」。松明の明かりが幻想的です(資料写真)

「薪文楽」では境内に設置された10人用の升席で「十人重箱」がふるまわれます。煮しめや巻きずしなど地元の野菜をふんだんに使ったお弁当を食べながら、人形浄瑠璃が楽しめます(資料写真)

大川阿蘇神社では、とても貴重なものを見ることができます。それは、ご神木の4組の「ふたごの杉」。同じ根元から2本に分かれ巨木に育っています。

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「このスギに触れて、家族、友人、恋人といつまでも仲良く過ごせるように祈ってください」と宮司・渡邊さん。巨大なご神木に触れると何だか、パワーをもらえたような気がします。

良縁にも恵まれそうな「ふたごの杉」。新たなパワースポットとして注目されそうです=大川阿蘇神社

こちらも貴重な江戸末期の紙製のやばた。子どもの健やかな成長を祈って描かれた武将の姿は、160年経ってもイキイキとしています=大川阿蘇神社


渡邊家に残る明治時代の小学校の卒業証書。一枚一枚、達筆の手書きです=大川阿蘇神社

江戸末期から明治にかけて使われていた浄瑠璃本。今回特別に見せていただきました=大川阿蘇神社

薪文楽(たきぎぶんらく)

日時/10月14日(土)17時~
会場/大川阿蘇神社 農村舞台
料金/1名5200円(十人重箱弁当付き)※雨天の場合は清和文楽館
予約申し込み/清和文楽館 TEL.0967-82-3001

大川阿蘇神社