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(2)白装束の宇奈利の行列 真夏の風物詩「御田祭」

しあわせの石

(2)白装束の宇奈利の行列 真夏の風物詩「御田祭」

2017年7月1日
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白装束に身を包んだ約200人の女性たちによる幻想的な「宇奈利」行列。御田祭を象徴する風景として、写真愛好家にも人気(資料写真:阿蘇神社復興支援ボランティア提供)

阿蘇谷に夏本番を告げる「御田植神幸式(通称 御田祭:おんだまつり)」=7月28日=が近づいてきました。青田の中を白装束の「宇奈利(うなり)」がしずしずと進む神幸行列の光景が有名です。

御田祭は、神が田植え後の稲の生育を見てまわるという故事によっており、国の重要無形民俗文化財に指定されている「阿蘇の農耕祭事」の中で最大の神事です。

神輿(みこし)に稲を投げ上げる“田植え”神事。屋根に稲苗が乗るとその年は豊作になると言われ、神輿の端に賽銭を乗せて下をくぐると1年を健康に過ごせるという言い伝えもあるそう(資料写真:阿蘇神社復興支援ボランティア提供)

約60年にわたり御田祭の“田植え”神事用の育苗を続ける小代勝久さん(82)は、「御田祭のある7月28日前後はちょうど稲の病害虫が発生しやすい頃。病害を払って豊作を祈る、大切な祭事です」といいます。

「去年も今年も変わらず米作りができているのは、阿蘇神社の神さまが私たちを一手に守ってくれたから。だから、われわれ農家が阿蘇神社の祭事や復旧の旗振り役にならんといかんと思っとります」

阿蘇神社の氏子総代会長でもある小代勝久さん

「水鏡で見てん、逆さ涅槃(ねはん)が見える」という小代さんの言葉に誘われて見た風景。地元で「涅槃像」と比喩される阿蘇五岳の山並みが、無風の田んぼにくっきりと映っていました

小代さんの田んぼの一角にある「神田(しんでん)」には、お祓いをした苗が植え付けを待って並んでいました

さて、阿蘇神社に隣接する門前町商店街を歩いてみました。

すっきりと掃除された早朝の門前町を散策するのは気持ちがいいものです

目につくのは各店の軒先にある水基(みずき)。清水があふれ出る水飲み場で、同商店街が「水基巡りの道」と呼ばれるゆえんです。しかし先の地震で、水が出なくなった水基もあり、震災の爪痕を感じさせます。

早苗が飾られている水基も

それにしても、湧水の流れ出る音、店先の打ち水や風鈴が涼やかさをもたらします。

それぞれの店をのぞいては土産物を探したり、水基を見つけては、喉を潤したりして商店街の散策を楽しんでいると、薪作りをしている人と出会いました。精肉店「阿蘇とり宮」の杉本蘇助さん(81)です。

「阿蘇とり宮」の先代・杉本蘇助さん。同店は馬肉入りコロッケの「馬ロッケ」で知られます

「縁結びの神の阿蘇神社に参ったら、『しあわせの石』をぐるっとまわって抱きついていくとよか。商店街にはよか男のおるけん、出会いもすぐあるよ。ガハハハ」

昔からの知り合いのように人懐っこく話しかけてくる蘇助さんに、たちまち気持ちがほぐれていきました。

重さ5トンもある「しあわせの石」。「一周して抱きついたあとに写真を撮ると完璧!」と杉本さんが教えてくれました

阿蘇とり宮