生活情報紙「あれんじ」公式サイト

(1)枯れることない「神の泉」 阿蘇神社の復旧工事進む

門前町商店街名物の「水基」

(1)枯れることない「神の泉」 阿蘇神社の復旧工事進む

2017年7月1日
|

復旧工事が進む阿蘇神社

阿蘇神社を訪ねようと一の宮町へ向かいました。山々は緑を濃くし、目の前に広がる田んぼは、水をたたえ山々を映した鏡のようです。時折吹く風に心地よさを感じます。

国指定重要文化財である阿蘇神社の楼門と拝殿は、昨年の熊本地震で倒壊するなどの大きな被害を受けました。

現在、復旧工事の真っ最中です。まずは楼門前に湧き出す手水(ちょうず)「神の泉」で手を清めます。震災時も枯れることはなく、住民たちの命綱になったそうです。

「神の泉」と呼ばれる阿蘇神社の手水

境内にはフェンスが張られ、ヘルメット姿の作業員が忙しく行き来します。

仮拝殿が設けられた境内には、年配の夫婦や団体客など多くの参拝者が訪れていました。

被災当時の神社の様子を写した写真なども掲示してあり、みんな熱心にのぞき込んでいます。

神社の権禰宜(ごんねぎ)・矢田幸貴さん(36)に聞いてみました。

「阿蘇神社は、これまでも時代ごとの困難を経験しましたが、そのたびに復興を成し遂げてきました。熊本地震では、“再生する力”の意味を深く受け止めています。また、神事を絶やさずに続けていくこと、それが地域の神社の大切な役目であり、みなさまの力になれることだと思います」

矢田さんの実家は、1200年以上の歴史を誇る益城町の「木山神宮」で、禰宜も兼任しています。しかし残念ながら、木山神宮は熊本地震で全壊したといいます。

「私の中の大きな存在が同時に被災するという信じがたい事実に、打ちひしがれました。けれど、一歩一歩を踏みしめて心を起こしながら、前に向かっていかなければと思っています」と矢田さん。

3児の父でもある権禰宜・矢田幸貴さん。「子どもたちの世代に町や神社をつないでいくためにも、頑張りたい」

工事主任を務める清水建設の川原裕貴さん(32)は、「阿蘇神社の復旧は、阿蘇全域の復興の象徴でもあると承知しています。神事の予定も頭に入れて、日々安全に工事を進めていくことが私たちの使命です」と話します。

工事主任を務める「清水建設」の川原裕貴さん。「生まれ育った桜島は噴火による降灰がひどく、小中学時代はヘルメットをかぶって通学していたほど。自然はときに脅威でもありますが、それ以上に豊かな恵みをくれるものだということを子どもたちにも感じてほしい」

日本三大楼門のひとつである楼門の解体工事では、先人たちの優れた技術に触れるという貴重な経験が得られたと言います。

さらに、「腰を据えて、百年先にも誇れる仕事にしたい」と今年4月、家族で合志市から一の宮町へと移住しました。

「神社が復旧していく過程をわが子に見せたいという思いもありました。この町は空気も良くて緑も豊かで、何より水がおいしい。この地で子育てをできることに喜びを感じています」と語ってくれました。

門前町商店街名物の「水基」

阿蘇神社