
「たこ料理」ののぼりが目印の「あさひ荘」。宿泊は1泊2食6500円〜(たこ料理は8640円〜)、お昼のたこ料理フルコースは5000円(要予約)
タコをはじめ、とれたての海の幸を味わうために、大浦港から歩いてすぐの民宿に向かいました。玄関先に「タコ料理」ののぼりがはためく「民宿あさひ荘」です。
「今日はおまかせ料理です。タコ料理をいろいろ作ってみました」と店主の松本國雄さん(74)。テーブルに並ぶのは、自家製の干しダコを使ったタコめし、ぶた和え、刺し身など。なかでもはち巻きをしたタコステーキが登場すると、テーブルが一気ににぎやかになります。
“ステーキ”といっても、焼くのではなく、タコを下ゆでし、たっぷりのタレで煮たもの。「生きたタコを使うから、びっくりするくらい軟らかかとですよ」と松本さん。

「あさひ荘」で日帰り利用できる昼食コース1名2000円〜(要予約)。予算や料理の希望にも対応してくれます=「あさひ荘」

自家製の干しダコと夫婦で採りに行くというヒジキを使ったタコめし。ほんのり甘く、タコのコリコリ感がアクセントに=「あさひ荘」
夏本番になるとタコの産卵期。卵とタコみそとを合わせて食べるとさらにおいしさが増すといいます。
「天草のタコを食べたいと、北海道から来られる方もいらっしゃるんですよ」とは妻の鈴子さん(75)。
全5部屋のこぢんまりとした民宿には全国から客が訪れるのです。
座敷から眺める青い海。空を旋回するトンビの「ピーヒュー」という鳴き声が響きます。
おだやかな海辺の景色、静かな環境に心が癒やされます。

「タコはヘルシーで消化にいい食べ物。たくさん食べてください!」と松本さん夫婦=「あさひ荘」
おいしい料理と気さくなもてなし
タコめしを食べるならもう1軒は、食事処「田吾作」。天草ドライブの際にちょっと立ち寄って食べたい人にはおすすめです。

国道324号沿いに立つ「田吾作」。ねじりはち巻きのキャラクターの看板が目印です=「田吾作」
人気は「田吾作定食」。自家製干しダコを使ったタコめし、エビフライ、小鉢、そして1杯のうどんがセットになったボリューム満点の定食です。
「安くておいしいと言われるのが一番のほめ言葉。わざわざ足を運んでくれるから、ご飯の大盛りやおかわりはサービスしてます」と、女将の松井キクエさん(65)です。
タコめしの盛りのよさに、大盛りなのではと聞けば「ウチはこれが普通盛り。大盛りだと昔話に出てくるご飯と同じだけん」との答え。ほんのり甘い味付けのタコがたくさん入ったタコめしは、食べても食べても減りません。
おいしい料理と気さくなもてなしで、お腹も心も満たされました。

玄関先にもイガイガ頭のキャラクターが。これは丸い浮きに、ご主人の廣光さんが描いたものだそう=「田吾作」

茶わんにびっしり詰まったタコめしが人気の「田吾作定食」880円。そのほかの定食は、プラス100円で白ごはんをタコめしにできます=「田吾作」

「親子3人で切り盛りしてます」と笑顔が絶えないキクエさん(写真左)と娘の亜樹さん(42)=「田吾作」
さわやかな海風に吹かれて過ごした有明町での一日。行く先々で話が弾み、なんだか親戚の家をめぐったような気分に。タコがもたらしてくれた“多幸”に甘えた、海辺のふれあいでした。