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(1)空に向かい舞う投網 真昼の花火のごとく

三角西港の風景

(1)空に向かい舞う投網 真昼の花火のごとく

2017年4月1日
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内潟地区の船溜りの風景

薄いベールのような雲がかかった青い空。春の不知火海はのんびりとして、海原できらきらと光が跳ねると、そのまぶしさに目を細めてしまいます。

花がほころぶ坂道の下に見えるのは、内潟地区の船溜り

内潟地区の船溜り近くの池で甲羅干しをしていた2匹のカメを発見。実にのんびりとしています

戸馳島の内潟地区にある船溜りで、漁に出るという船に乗せてもらいました。沖合に出た船のエンジン音が止まると、チャプンチャプンという波音と、カモメの鳴き声が聞こえてきました。さぁ、これから投網漁のスタートです。

15キロの錘(おもり)をつけた網を束ね、船首にしつらえられた投げ場に立つのは神﨑龍二さん(28)です。神﨑さんは一呼吸置くと、ぐるりと体を回転させ、その遠心力を利用して網を投げます。それは、ハンマー投げのフォームによく似ています。

空中に網が広がるさまは、まるで真昼の花火を見ているような美しさです。

投網漁は、網を投げる「うちこ」と船の舵をとる「かじこ」で漁をします。魚群探知機で魚の群れを追いかけ、見当を付けた場所に網を投げるわけですが、そこには漁師ならではの勘の働きが必要とされます。

網を投げた後、魚のかかった網を引き揚げる神﨑さん。とても力のいる仕事です

漁師になって8年という神﨑さん。「海の上が仕事場だけん、そりゃ危険も隣り合わせばってん、大漁の瞬間はなんともいえんです」

一見、こわおもての神﨑さんですが、話をするにつれ、心根の優しい青年だということが伝わります。3人の女の子(6歳・4歳・1歳)のパパでもあり、「家では女性に囲まれてハーレム状態(笑)。娘ばかりだけん、がまださなんです」と優しい父親の顔を見せます。

取材するうちに、すっかり親しくなった神﨑龍二さん

神﨑さんから「ちょっと海ばドライブしてみっですか」とうれしい提案がありました。

向かったのは世界遺産に登録された三角西港。船の上からでしか見ることができない、現在建設中の「新天門橋」の真下をくぐる瞬間は感動的です。また三角西港の風景もいつもと違い、何年か前に見たNHKドラマ「坂の上の雲」の海からの1シーンを思い出します。

船の上から眺める三角西港の風景

建設中の新天門橋(左)。現在は床版がつながっています

天門橋(通称・1号橋)と建設中の新天門橋が並ぶ姿

三角港のシンボルである海のピラミッド(三角港フェリーターミナル)の建物が見えます

船の上で受ける潮風は心地良く、ゆったりと過ぎていく春の日を感じるのでした。

閉校になった戸馳小学校。現在は島の活性化をはかる活動拠点となっています