生活情報紙「あれんじ」公式サイト

(3)色とりどりの手作り「浮き」工場の中は花が咲いたよう

「堀内製油」の看板商品「地あぶら」の原料となる菜種

(3)色とりどりの手作り「浮き」工場の中は花が咲いたよう

2017年3月4日
|

200種類もある自社ブランド「ギンナンうき」の説明をする「財津釣具」の土肥靖典社長。自身が考案した「ZAXIS(ザクシス)」シリーズも、全国に愛好者がいるそうです

氷川町に釣り具の「浮き」を製造するメーカー「財津釣具」があると聞いて訪ねてみました。

氷川町と釣りが結びつかない上、浮きだけを製造する珍しさも手伝って、釣りには門外漢の取材班も興味津々です。

工場に入ると、まるで花が咲いたようです。赤や黄色に鮮やかに着色された浮きが所狭しと並べられ、ながめていると、一足早く春らんまんを迎えた気分となってきます。

塗り終わった浮きはツルンとつややか。並んでいると何だかアート作品のようです

「財津釣具」の創業は昭和23年。初代が出身地・東陽村(現・八代市東陽町)で川釣り用浮きの工房を始めたのが出発点です。その後、氷川町に移転しました。

「当時の浮きはタラの若木の芯を乾燥させ、それを削って作っていました」と3代目社長の土肥靖典さん(47)。浮きと一口に言ってもその形状は様々。代々伝わる自社ブランドの「ギンナンうき」シリーズで200種以上もあるそうです。

「同じ形状でも、天候や波に合わせて長さや重さを変えるんです。0.05グラム刻みで重さを変えていくものもあるんですよ」

こんな微妙な重さの浮きを、電動ろくろを回しながら、ノミで削りながら形作っていくと言うから驚きです。作業をのぞくと、熟練の職人が、キーン、シュルシュルシュルと手際よく削っていました。

素材となる国産のキリ。6年以上乾燥させているため、ヒョイッと持ち上げられるほどの軽さです

太さや曲線も、木が削れる音の変化や手の感覚でノミの角度や力の入れ方を加減。さすが職人技です

職人でもある土肥社長によると、木が削れる音の違いを聞き分けて太さを測っているといいます。長年、培われた職人の手によるつややかな浮き。日本のみならず台湾や中国の太公望たちにも愛用されると聞き、隠れた伝統技に誇らしさを感じました。

一本一本、電動ろくろを回しながらカラーリング。黒いラインが入るのもあっという間です

「ギンナンうき」をモチーフにしたストラップ(右810円、左540円)は、「道の駅竜北」や「まちつくり酒屋」で販売

問い合わせ

 

昔ながら製法で、香り高く、安全安心な油をつくっています

土肥社長のように、伝統を受け継ぐ職人がもう一人。宇城市小川町との町境で営む「堀内製油」2代目社長の堀内克矢さん(68)です。

「おっと、今日は私の誕生日でした!」と、夕方の取材時に気付かれた堀内社長。お誕生日、おめでとうございます!

戦時中、中島飛行機(群馬県)の技術者だった堀内社長の父・義信さんが、終戦後、故郷の氷川町に帰り、「堀内製油」を始めました。手近な機械を集めて造った圧搾機で、農家の人たちが持ってきた菜の花の種を搾り、菜種油を製造したのが始まりです。圧搾機の心臓部となるスクリューは、義信さんが考案したものが、今も現役で働いています。

初代が造った圧搾機で搾った“一番搾り”の菜種油

「父は9年前になくなりましたが、素材も製法も父のこだわりのまま。昔ながら製法で、香り高く、安全安心な油をつくっています」

15年前、初代が元気だったころの堀内製油三代のショット。左から、堀内克矢さん、義信さん、三代目の貴志さん(37)。笑い顔がよく似ています(写真=堀内製油)

工房には、ぷ~んと香ばしい匂いが充満しています。大きないり釜の中では、菜種が焙煎中で、いり終えたそばから圧搾機に送られていきます。ギューッと圧縮しながら搾り、出てくるのがトロリとしたうぐいす色の液体。これが一番搾りになり、その後の工程で不純物を取り除き、ろ過をした後にビン詰めされます。

「堀内製油」の看板商品「地あぶら」の原料となる菜種。菜種は自社農場で栽培され、安心もプラス

「これが、菜種を搾った『地あぶら』。これで揚げると冷凍コロッケもおいしくなるよ」と堀内社長。「古式圧搾製法」に加え、菜種や椿は自家栽培し、より安心して味わえるものを提供していきたいと言います。目が行き届いた製造工程だからこそ、味わい深い植物油が生まれるのでしょう。

豊かな香りが楽しめる「金ごまオイル 深煎り・浅煎り」(写真右左)各1296円(105g)、「地あぶら」1080円(445g)

問い合わせ

堀内製油