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(1)清流のシンボル「ギロッチョ」水と緑に癒やされる散歩道

「水辺の散歩道」の散策で出会ったお地蔵さん

(1)清流のシンボル「ギロッチョ」水と緑に癒やされる散歩道

2017年3月4日
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氷川町の中央を流れる「氷川」。上流には、パワースポットとしても知られる立神峡があります

熊本県のほぼ中央に位置する氷川町。宇城市方面から車で国道3号を南下すると、ゆったりたおやかに流れる氷川の姿が見えてきます。

町の名前にもなった氷川。その南岸に広がるのが、江戸時代、薩摩街道の宿場町として栄えた宮原地区です。町の一角には、その面影を残す昔ながらのしょうゆ屋、造り酒屋跡、銀行跡などを見ることができます。

日ごとに寒さも緩み、町歩きには心地よい季節。時間の流れもゆうゆうとしている町並みを少し歩いてみました。

どこからともなく「サワサワ」「サラサラ」と、水の流れる音がかすかに聞こえてきました。音に誘われるように小道に入ると、建物の脇に小川が流れています。幅2メートルほどの小さく浅い川ですが、水草が植えられていたり、川底には石や段差が設けられ、流れにリズムが生まれています。流れる水も透明感があり、温かな日差しを浴びてキラキラと輝いていました。

この小川は、もともとは氷川の水を農業用水として取り込む用水路。宮原地区を流れる230mを「水辺の散歩道」として整備してあります。遊歩道をさらに進むとビオトープ公園「ギロッチョ池」があり、水辺の生き物や植物に親しむ空間になっています。

氷川から取り込んだ水が流れる水路「水辺の散歩道」。水際に降りられる階段があったり、対岸の住居に渡る橋が架けられたり、風情ある風景が続きます

ちなみに「ギロッチョ」とは、清流にしか棲まないというハゼ科のヨシノボリのこと。宮原の方言で「ギロッチョ」と呼びます。池を取り囲むように、クスノキやヤマブキなどの木々、ユキノシタ、ジュズダマ、ショウブといった草花が植えられ、ぷっくり膨らむ新芽が、春の訪れを告げています。

ふわふわの花穂が顔を出していたネコヤナギは「ギロッチョ池」で発見

川沿いの遊歩道を歩いていると、「何の取材?」と声をかけられました。この水路を管理する「むかしを映す川辺づくりの会」の立岩政勝さん(69)です。この会は、2012年に結成され、地域住民のみなさん約30人が活動しています。

立岩さんたちは、川辺の見回りや清掃、水草や植物を植えるなどの、憩いの場としての環境整備に取り組んでいます。

「昔はホタルもいっぱい飛び交ってたんですよ。幼虫を放したり、ホタルの好きなシマトネリコを植えたりして、少しずつですがホタルも帰って来ました」と頬を緩めます。

「こんにちは!あったかくなりましたね」と、小さな女の子を連れた女性が立岩さんにあいさつしてきました。すれ違う時は、体を脇に寄せるほどの細い遊歩道ですが、ウォーキングや散歩などで利用する人も多く、住民の暮らしにすっかり溶け込んでいるようです。春本番になればアヤメやショウブも咲くといいます。

「水辺の散歩道」の近くに立つ「まちづくり情報銀行」。大正9年(1920)に開業した地方銀行「井芹銀行」の建物が活用されています

「水辺の散歩道」の散策で出会ったお地蔵さん。この付近の住民の方が祭ったのだそう

「むかしを映す川辺づくりの会」の立岩政勝さん。お兄さんは同会の会長。兄弟で地域の活性化に取り組んでいます