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(2)清らかな湧水の恩恵 水の神様に感謝して

矢形川

(2)清らかな湧水の恩恵 水の神様に感謝して

2017年2月4日
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嘉島町で見られる家々の石垣は、火山の噴火によってできた溶結凝灰岩で組まれています

嘉島町には、いたるところに清水が湧き出ています。清らかに澄んだ水は生活用水や田畑を潤し、人々は水の恩恵を受けて暮らしてきました。古くからこの土地では水を慈しみ、崇め、感謝する精神が根付いているようです。

それは、集落ごとに残る湧水の洗い場に見ることができます。丁寧に掃除された各所の洗い場の水底には一点のゴミも落ちておらず、いかに大切に扱われているかが分かります。

「こま~か頃から俺たちの遊び場は水辺だった。冬は寒ブナば捕ったり、夏は一日中泳ぎよったね。嘉島ん子たちは、みーんなカッパて言われよった(笑)」と人なつっこい笑顔を見せてくれたのが、NPO法人「みずのとらベル隊」の理事・宮地元さん(60)です。

NPO法人「みずのとらベル隊」の理事であり、川遊びの達人としても全国的なネットワークを持つ宮地元さん

宮地さんが案内してくれた「坂の下(さかんした)湧水」で、絶滅危惧種の水草・ヒメバイカモを見つけました。

「これはね、ウメの花のような白い花を咲かせる藻。緑川流域と江津湖周辺にしか生息せん、貴重な生物たい。ここらへんには昔はいっぱいあったばってんね…。この地域では、こういった藻を取って、田畑の肥料にしよったとよ」

「坂の下湧水」。水底までくっきりと見えるほど澄んでいます

水の中で白い可憐な花をさかせるヒメバイカモ

清らかな水底に生息するヒラモ。これも絶滅危惧種の一つです

「これば鍋に入れるとおいしかばい」とクレソンを摘む元さん

しかし、幼い頃から水と親しんできた宮地さんでしたが、熊本地震直後に起きた水の変化には心を痛めたそうです。

「町の至るところの水が茶色く濁って、それは初めて見たおぞましい光景だった。普段見慣れている澄んだ水辺の風景が、地域の人の心のよりどころになっていることを痛切に感じた瞬間だったね」と宮地さんは話します。

現在は、かつての姿を取り戻しており、矢形川(緑川水系)の流れも清らかです。六嘉橋の上から眺めると、菱形の編み目のような模様を描く川波に、心が癒やされていくようでした。

ゆるやかな矢形川の流れと、「寺の下湧水」が分水する場所

人々が挨拶をしながら行き交う六嘉橋の上

故郷の水辺を愛おしむようにして案内を終えると宮地さんは、「寺の下(てらんした)湧水」に祭ってある水神様に手を合わせました。そして、深々とおじぎをした姿がとても印象的でした。

「寺の下湧水」にある水神様。辺りは丁寧に掃き清められています

「寺の下湧水」の上にある「佛誓寺」。挽き臼を敷石にした珍しいしつらえで「挽臼寺(ひきうすてら)」とも呼ばれています