生活情報紙「あれんじ」公式サイト

(4)七面鳥が“従業員”のレモン畑 昭和にタイムスリップする駄菓子屋

樫本商店の店内

(4)七面鳥が“従業員”のレモン畑 昭和にタイムスリップする駄菓子屋

2017年1月21日
|

月浦地区の高台からの風景。冬晴れの空の下、海は穏やか

水俣湾を挟んで、すぐ向こうに獅子島、長島(鹿児島県)、その先に天草諸島を見渡す月浦地区の高台に、安田昌一さん(61)のレモン畑はありました。安田さんは、2haの果樹園に、10種類ものかんきつ類を育てています。

果樹園の屋号の「Mr.Orange」は、まさに安田さんにぴったりの屋号です。

ハウスの中には、収穫を待つレモンが鈴なりになっています。

そんな時「コポコポコポ~」と、けたたましい鳴き声。この声の主は一体何者?と思ってきょろきょろしていると「うちの従業員の七面鳥です」と笑う安田さん。なんと、安田さんの“レモン畑の番人”は、七面鳥なのです。

雑草や害虫を食べてくれる七面鳥のおかげで、除草剤を使わずにすむだけでなく、そのふんは土を元気にする天然の肥料です。

レモン畑の“働き物”、七面鳥。黒がオスで、白がメス

実は、安田さんは25歳から36歳まで、アフリカのケニアに在住。そこでオレンジの栽培方法を教えるなどの活動をしていました。珍しい七面鳥農法にチャレンジする安田さんの自由な発想は、ケニアの土とともに生き抜いた経験や自信から来るものなのかもしれません。

安田さんが育てたかんきつ類を、フルーツソースなどに加工するのは、妻の千賀子さん(63)です。そして、販売促進を引き受けるのが、娘の永井香織さん(41)。

加工品作りのアイデアは、安田家の食卓から生まれます。「試作した加工品を食べながら、あーでもないこうでもないとみんなで話し合うんですよ」

昌一さんが丹精込めて育てた果物を、千賀子さんが丁寧に煮詰めて作ったフルーツソースは、甘酸っぱい幸せの味がします。

写真左から「Mr.Orange」の安田千賀子さん、昌一さん、永井香織さん

甘夏、プラム、ゴールドキウイなど「Mr.Orange」のフルーツソース(200g・通販価格600円)。すべて手作業で作られています

レモン塩(25g・430円)、島ミカンの乾皮(5g・390円)、しらぬいのマーマレード(120g・380円)。いずれも安田家の食卓で生まれたアイデア加工品

Mr.Orange

 

懐かしい昭和の駄菓子やおもちゃがいっぱい!

さて、街中心部に戻ることにします。水俣第一小学校(同市陣内)の近くに、小さな駄菓子屋「樫本商店」を見つけました。中に入ると、マグマ大使のお面や、メンコなど、懐かしい昭和の駄菓子やおもちゃがいっぱい!子どものころに通った駄菓子屋さんに来たようで、はやる心を抑えることができません。

ぜひ訪ねて欲しい水俣のスポット樫本商店。子どもの頃のワクワクした気持ちを思い出しますよ

なつかしいマグマ大使のお面。知る人ぞ知る手塚治虫作品なのです

鉄腕アトムなど、メンコの数々。今の子どもたちはメンコ遊びをしたことあるのかな?

「昭和40年代のゲーム機があるよ。遊んでみんね」。そう言って、いたずらっぽくほほ笑むのは、同店店主の樫本照夫さん(83)。10円玉を入れると、ピコッピコッという音とともにボードが光り、ボールが勢いよく飛び出すゲーム機は楽しく、「まだまだ現役。テレビゲームには負けとられんばい」と胸を張っているように感じたのでした。

いつも子どもたちに囲まれ少年のように気持ちが若々しい樫本商店の樫本照夫さん

昭和40年代のボードゲーム「VANI SHING POINT」。ゲームがうまく完結したら、30円の金券がもらえます(樫本商店)

知る人ぞ知る樫本商店は、全国のゲームマニア垂ぜんの的。昭和40年代の3台のボードゲーム機が今も現役で動き、全国からファンが訪れます。

「“おじちゃん、オレのこと覚えとる?”って、大人になってから子ども連れで訪ねてくるお客さんも多いよ。そんなわけで、店ば辞められんとですたい(笑)」と照夫さんがほがらかに笑いました。

おもちゃ箱をひっくり返したようなワクワクする樫本商店の店内。「W ATTACK」「ファミリーボール」などのボードゲームも健在

午後4時過ぎ、空は暮色に染まっていきます。

冷たい北風を頬に受けても、この町で出会った人たちの笑顔を思うと、心がたちまちほっこり温かくなるのでした。

樫本商店