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(1)和綿栽培、綿繰り、縫製まで 地域で支える女性が働く職場

100%あさぎり綿で作ったスタイは2160円。べビー用帽子4536円、おくるみ1万800円、マスク2160円、お肌洗い1404円

(1)和綿栽培、綿繰り、縫製まで 地域で支える女性が働く職場

2016年12月3日
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和綿から取り出した種は、来年の植え付けに使います

人吉インターから国道219号に入り、球磨川の上流に向かって車を走らせること約20分。その日の朝も、町は霧に包まれていました。

日が高くなるころやっと霧が晴れ始め、あたりの様子も変化してきます。

山々が頂(いただき)の方から少しずつ姿を現す一方で、山裾はまだ雲とも霧ともつかぬ白いベールがかかっています。

目の前にどっしりと大きな山容を見せるのは白髪岳(しらがだけ、標高1417m)。山頂が雪や樹氷で白く輝く冬の白髪岳は、町の冬の風物詩でもあります。

あさぎり町では近年、秋から冬にかけて和綿の花が咲き始めました。その理由が、須恵地区にある小学校跡にありました。

古い木の校舎の中から聞こえてくるのは、小気味のいいミシンの音です。縫製工場「マインド熊本」は国産ブランドの婦人服をはじめ、布小物などの製造を手がける会社です。

ここは女性の働く場所の創出を目的に立ち上げられました。変化の激しい繊維市場に対応し雇用を維持しようと、代表取締役の恒松法子さん(61)は7年前から綿花を栽培し、独自の商品開発に取り組んでいます。

「栽培から収穫、綿繰り(わたくり=綿花から糸を紡ぐ作業)まで近隣の農家さんの協力を得て、最初は社員総出でやっていました。そこで、夫の勤める地元の福祉施設に協力をお願いすると、次第に高齢者施設や老人会の人たちも手伝ってくれるようになりました」と話します。

和綿で作った商品は「衣癒堂本舗」のブランド名でマインド熊本で販売中。「オーダーも受け付けていますよ」と恒松法子さん。帽子1万584円、手提げバッグ9180円

かつて子どもの声が響いた木造の旧校舎には、ミシンの音が響いていました

やがてその活動は広がり「和綿の里づくり会」が結成されました。

「この地域に昔からある『かちゃあ』の風習のおかげです」と恒松さん。

「かちゃあ」とは協力を惜しまない精神で、互いを思いやる心のこと。和綿づくりの活動が発展してきた背景には、地域で協力し合う精神風土が今も脈々と受け継がれていたのです。

そして今年10月の和綿の収穫は、地域の福祉施設をはじめ、須恵の保育園や小学校、南稜高校と球磨工業高校の生徒ら約190人が参加する地域挙げてのイベントとなりました。

工場内に足を踏み入れると、かつての小学校のたたずまいが大切に守られています。木枠の窓、磨き上げられた木張り床にミシンがずらりと並びます。渡り廊下もそのままです。隣の須恵小学校からキンコンカーンというチャイムの音がして、子どもたちの元気な笑い声が聞こえてきました。

100%あさぎり綿で作ったスタイは2160円。べビー用帽子4536円、おくるみ1万800円、マスク2160円、お肌洗い1404円

あさぎり町で採れた和綿。種から育てた和綿の収穫には感慨深いものがあったそうです

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マインド熊本