
バンペイユのペーストやシフォンケーキを作っている「デザート工房オレンジ会」の皆さん。左から橋本あい子さん(66)、岡田行枝さん、北岡洋子さん(65)
八代の特産品といえば、これから旬のバンペイユ。ギネスにも載ったことがある世界一大きいかんきつ類です。
生産者の主婦ら3人からなる「デザート工房オレンジ会」が作るバンペイユのペーストが評判と聞き、工房を訪ねました。
工房の隣には、バンペイユがたわわに実ったハウスがありました。バンペイユの花のいい香りが、風に乗って漂います。
工房内は甘酸っぱい香りでいっぱい。ペースト作りの真っ最中でした。皮とワタ、果実を分け、それぞれ別の釜で煮詰めて、最後に独自の配合で混ぜ合わせるなど、すべて手作業。おしゃべりに花を咲かせながら作業するひとときは「農作業の息抜きですたい」と、同会代表の岡田行枝さん(55)が笑います。
その魅力を「ほかのかんきつ類ではまねできない香り」という岡田さん。「焼酎割りやヨーグルトソースなど、いろんな使い方ができますよ」
中でも、バンペイユペーストを使ったシフォンケーキのおいしさといったら。バンペイユの香りがふわっと口の中に広がり、ちょっと苦みのあるつぶつぶの皮がアクセントになっています。

バンペイユの香りのシフォンケーキ(大800円)と「晩白柚の砂糖煮」(250円)

バンペイユペースト「マキシト」(大・720g)1800円、(中・300g)840円、(小・90g)200円
八代の冬のもう一つの名物の塩トマトも12月から出荷が始まります。八代市水島地区で塩トマトを作って30年という、松村一(はじめ)さん(73)、久子さん(70)夫妻に出会いました。
「塩トマトは特殊な土壌でしか生まれない奇跡のトマトです。同じ育て方をしても、こっちのハウスじゃできるばってん、隣のハウスじゃでけんとだけん…」と、塩トマト作りの名人、一さんもその不思議さに首を傾げます。
「塩トマトのおいしさを一年中楽しんでもらいたくて」。久子さんが加工品作りを始めたのは、5年前。余計なものは一切加えずに作った塩トマトジュースは、濃くて甘い塩トマトのおいしさがぎゅっと詰まっています。

「トマトを出荷するときは、娘を嫁に出す気分」とほほえむ松村一さん、久子さん夫妻

松村久子さんのトマトジュース。左から、塩トマトジュース(2800円)、トマトジュース(1800円)、ミニトマトジュース(1800円)、各500ml
「オレンジ会」のバンペイユのペーストや、松村夫妻のトマトの加工品が購入できるのが「八代よかとこ物産館」です。同館では八代で採れた旬の農産物や特産品、妙見祭関連のお土産物もそろいます。
妙見祭が近づく頃になると、日が暮れるのも一段と早くなります。かつてお殿様が眺めた白い石垣も、それを映し出す内堀も、夕陽に染まっています。
古きを大切にし、良きものを進化させて未来につなぐという、八代の人々の心意気を表すような、温かいあかね色でした。

八代の物産が何でもそろう「八代よかとこ物産館」

迫力あるガメのパッケージ!球磨川の青のりがたっぷり入った「八代青のりめんべい」(1080円)が人気

「八代の特産品がいっぱいです。お祭りの帰りにお立ち寄りください」と「八代よかとこ物産館」の福田美香さん(35)

八代駅にあるバンペイユのオブジェと、ガメの看板を見ると「八代に来たなあ」という気になりますね
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