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(2)古代より美しい海で製塩 太陽と風まかせは今も同じ

完全天日塩「はやさき」

(2)古代より美しい海で製塩 太陽と風まかせは今も同じ

2016年10月1日
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五和歴史民俗資料館からの眺め

ゆったりとした時間が流れている通詞島。実は、古代からの歴史が息づく場所でもあります。島の歴史をもっと知りたくて、高台にある「天草市立五和歴史民俗資料館」へ向かいました。それにしても、ここから眺める早崎瀬戸の海は絶景です。目の前に島原半島、遠くに浮かぶ湯島(上天草市大矢野町)の姿をとらえることもできます。

通詞島の北側に広がる透明度抜群の海。海の中がはっきり見えます

さて同館は、1958(昭和33)年、二江半島で発見された「沖ノ原(おきのはら)遺跡」の出土品に加え、漁業や造船業といった二江地区やその周辺の歴史を知ることのできる施設です。

「沖ノ原遺跡では、縄文時代前期から現代にわたる数多くの遺物が出土しています。なかでも大量に出土した『天草式製塩土器』と呼ばれる土器の破片は、古墳時代にこの地で大規模な塩作りが行われていたことを示しており、1500年前のものづくりの様子を現在に伝える貴重な資料です」と同館非常勤職員の福永洋一郎さん(58)。

沖ノ原遺跡の出土品や製塩の歴史、漁具などが並ぶ=五和歴史民俗資料館


「ここは高台なので、イルカやイルカウオッチングの船団も見えます」と福永さん

天草市立五和歴史民俗資料館

 

美しい海の豊かさを凝縮した味

そうした歴史を受け継ぐように、島では現在、2つの工房で海塩作りが行われています。北部にある「自然食品研究会」は、流下式(りゅうかしき)製塩法と呼ばれる太陽と風まかせのスタイルで天日塩を製造する工房です。

木で組んだ櫓に竹や網を垂らし、海水を循環させ、太陽と風の力で濃縮させる「流下式製塩法」

「完成までの期間は気候や天候によって異なり、2週間から長い時には2カ月かかることもありますね」と同会代表の木口孝さん(74)が話してくれました。

長い時間をかけて作られてきた塩が、古代は通貨と同様の価値があったというのもうなずけます。

小さな塩の結晶を一粒口に含むと、滋味深いうま味が広がっていくのを感じます。それは、目の前に広がる美しい海の豊かさを凝縮した味に感じられます。

濃縮した海水を広げて結晶に。夏は2週間ほどでできる塩も、冬が近づくにつれ、1カ月、2カ月と結晶になるまでの時間が長くなっていくのだそう

木口さんが作る完全天日塩「はやさき」(250g入580円~)


「汲み上げた海水を上から下へ流し落とすことで塩分を濃縮し、結晶化させて造ります。風と太陽の力だけでできる天日塩です」と話す、木口孝さん

「通詞島風力発電所」の風車は、この島のシンボルに

自然食品研究会