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(1)“青井さん”とおくんち祭 守り続けられる球磨神楽

球磨神楽

(1)“青井さん”とおくんち祭 守り続けられる球磨神楽

2016年8月20日
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民謡「球磨の六調子」の冒頭に「球磨で一番 青井さんの御門 前は蓮池 桜馬場」と唄われる風景

人吉のシンボル的存在の国宝「青井阿蘇神社」。市民には“青井さん”の名で親しまれています。蓮池にかかる橋の朱色が目に鮮やかに映り、池は深緑の大きな蓮の葉で埋め尽くされています。朝露が宿った葉と咲き誇ろうとする蓮の花の姿に、心が洗われるようです。

青井さんとして親しまれる青井阿蘇神社。楼門屋根の四隅に神面が取り付けられるなど、〝人吉様式〟と呼ばれる意匠も見られます

青井阿蘇神社境内にある、オガタマノキ。神の宿る木として知られ、一円玉の模様のモチーフとも伝えられています

拝殿から太鼓の音が聞こえてきました。月次祭(つきなみさい)の時間のようです。第70代宮司の福川義文さん(52)の祝詞が響きはじめると、耳にうるさく鳴いていた蝉の声が次第に遠のいていきました。

境内に満ちていく厳かな雰囲気に、すっと背すじも伸びていきます。

青井阿蘇神社は人吉球磨の総鎮守として806(大同元)年に創建され、以来、特に重要な神社として広く信仰を集めてきました。

相良氏の保護を受け、民衆の信仰を広く集めた青井阿蘇神社の本殿

青井阿蘇神社の境内にある「文化苑」。平安時代初期から1000年以上、同神社宮司を務めた青井家の屋敷を公開。母屋だった「継承殿」の一部建築は1740年以前にさかのぼるといわれています


拝殿で始まった神事の支度。厳かな雰囲気に包まれます

第70代宮司の福川義文さん

青井阿蘇神社のすぐそばにある「人吉温泉物産館」には、人吉の衣食住のお土産物が並びます。花手箱やきじ馬の箸置きなどもあります

「青井さん」が一年の中でもっとも賑わうのが、「おくんち祭」。10月3日の鎮火祭から10月11日の報賽祭(ほうさいさい)まで、9日間にわたって行われる同神社の秋祭りです。9日の御神幸行列は神輿や獅子面、神馬などの行列が人吉の市街地を練り歩きます。

「おくんち祭は神様がご鎮座された縁日をお祝いするもの。以前は神職以外、立ち入ることもできんじゃったばってん、“ひと目でいいから神様を拝見したい”という、里人たっての希望で神幸行列が始まったとです」と、同神社の語り部を務める立石芳利さん(69)。

「私も数年前までは獅子面を担当しとりました。獅子面に頭を噛まれると無病息災や頭が良くなるっていうので、みんなの頭をたくさん噛んだよ(笑)」と立石さん

10月8日の夕刻から、神楽殿で奉納される「球磨神楽(くまかぐら)」も見どころのひとつ。お面をつけずに鈴や剣などを持って舞う神楽は独特です。500年以上の歴史があるとされ、この日を皮切りに人吉球磨地域の43の神社で奉納されます。

「保存会メンバーは神職も含め約60人いますが、そのうち舞い手は約20人。僕たちが次の世代にしっかりと受け継がねばという使命感を感じます」と「球磨神楽保存会」の中神寿一さん(46)。また同会の久保直貴さん(33)らは後継者育成のため、週に一度、青井阿蘇神社で子ども神楽の指導も行っています。

鈴や扇を手にひらひらと、時には剣を持って激しく舞う球磨神楽も、日本遺産の構成文化財のひとつです

「球磨神楽保存会」の中神寿一さん(左)と久保直貴さん。小学4年から球磨神楽を習い始めたという久保さんは、小学1年~高校生を対象とした「子ども神楽教室」も担当しています

問い合わせ

青井阿蘇神社

 

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人吉温泉物産館