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(1)せどわに響く魚売りの歌声? 独特の節回しに聞きほれて

嵐口港が見渡せる小高い丘「ふるあんどん」

(1)せどわに響く魚売りの歌声? 独特の節回しに聞きほれて

2016年7月16日
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嵐口は、景行天皇が御所浦で難を避けた際に、最初に立ち寄られた入り江だそうです。波風が強く船を係留できず、以来、嵐口と言われるようになったと伝えられます

棚底港(天草市倉岳町)から、フェリーに乗って、御所浦島へ。船が沖を進むにつれ、うきうきと心が躍るのは、船旅ならではの高揚感です。

いよいよ御所浦港に到着するという頃、軽快な音楽が流れてきました。「『御所浦よかとこ宝島』ですよ。この曲に乗って、島の運動会などでは、島民総出で踊るんですよ」と船員の方が教えてくれました。明るい島のソウルミュージックに旅路の心も弾みます。

景行天皇が九州巡幸の際に嵐に遭い、難を避けるために仮泊した地であるという言い伝えから、その名が付いたと言われる御所浦町(浦=海岸・入り江)。

島の北東側に位置する嵐口(あらくち)地区は、島で一番大きい集落で、海辺では、網の修理をする漁師や、旅客船待合所で船を待つ人たちの姿が見られます。

一歩山手に入ると住宅地で、“せどわ”と呼ばれる路地が広がります。通学や行商などに利用される生活道路でまるで迷路のようです。

嵐口港で網の手入れをする漁師の皆さん

嵐口の“せどわ”。細い路地が迷路のように続いています

路地を歩いていたら、「アジィ、イカァ、コノシロ、シンコォ~、ヘラの刺し身1パック100円~」と、なんとも独特の名調子が聞こえてきました。声の主は、「濱﨑鮮魚店」の濱﨑八重子さん(57)です。

店内でマイクを握りリズムを取りながらかけ声を放つ姿は、まさにラッパーそのもの。少しハスキーな声がまたかっこいいんです。

濱﨑鮮魚店では、朝取りのグチやカマスのすり身作りの真っ最中。「うちんすり身は、つなぎなんて使っとらんけん、おいしかよー!」

その元気な笑顔に魚の鮮度とおいしさを確信します。

グチやカマス、シンコなど、すり身用のミンチは、新鮮そのもの

この道20年、「濱﨑鮮魚店」の濱﨑八重子さん

問い合わせ

濱﨑鮮魚店

 

“ふるあんどん”という不思議な名前の丘

さて嵐口地区には、“ふるあんどん”という不思議な名前の丘があると聞きました。そこでボランティアガイドの鶴岡耕三郎さん(74)に案内してもらいました。

標高約30mの海が見渡せる丘に登ると、“若宮様”と呼ばれる小さなほこらがありました。

このほこらは、源氏でありながら、頼朝に疎まれ、九州に下った多田蔵人行綱(ただくろうどゆきつな)夫妻の墓と伝えられます。

嵐口港が見渡せる小高い丘「ふるあんどん」にある若宮様のほこら

天草文化協会理事でボランティアガイドの鶴岡耕三郎さん

「蔵人殿(くらんどどん)が“くらんどん”“ふらんどん”“ふるあんどん”と、なまったんじゃないでしょうか」と鶴岡さん。

「子どもの頃は、ふるあんどんという名前も、貝の化石があることも当たり前と思とったですけど、よく考えたら、謎だらけの島ですたい」と笑います。

鶴岡さんが営む1日1組限定の民宿「亨庵」(きょうあん)

問い合わせ

亨庵(1日1組の宿)