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(1)緑なす山とリアス式海岸 平穏な風景に心ほどけて

冷たい空気が漂う津奈木隧道の内部

(1)緑なす山とリアス式海岸 平穏な風景に心ほどけて

2016年7月2日
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風格ある姿の「津奈木隧道」。雑木林と石やレンガが一体化したような不思議な風景です

南九州西回り自動車道で一路・津奈木町へ。県南エリアは熊本地震の影響が少なく町並みも平穏です。雨上がりの山々は緑が滴るようで、不知火海に目を移すと、リアス式海岸(県立自然公園指定)の海が白く光ってみえます。そんな心癒やされる風景に震災以降、知らず知らずのうちに気が張って過ごしてきたことを気づかされます。

今年2月27日に津奈木IC(インターチェンジ)が開通し、熊本市内からアクセスがぐんとよくなりました。日奈久ICを過ぎると、津奈木ICまでの区間は、なんと無料。便利な上に、お財布にもやさしいのです。

八代市二見から津奈木町の間は、昔から「三太郎峠」と呼ばれる交通の難所。北から、赤松太郎・佐敷太郎・津奈木太郎と続く険しい峠も高速道路で楽々通過、1時間ほどで津奈木町へ到着しました。

さて、先人たちが苦労して越えた峠に、明治34(1901)年築造の津奈木隧道(ずいどう)=国登録有形文化財=というレンガ造りのトンネルが今も現役で使われていると聞いて、訪ねてみることにしました。

国道3号から案内板を頼りに山道に入り、深い木々に覆われたつづら折りの坂を上がっていきます。木立の間から見下ろすと、遥か下の方に国道3号や高速道路があり、道の険しさを実感させられます。

すると、林の中に突然あらわれるのが津奈木隧道。レンガ造りのトンネルで、時代を経た風格ある姿を見せています。遠くの出口が小さな点のようです。

トンネル内は灯りもなく真っ暗。ひんやりとした空気が心地いいものの歩いて通り抜けるにはやや勇気が必要です。通行するだけでも困難を極めた峠に、トンネルを通すという日本の近代化への熱い思いを感じる場所です。

コケに覆われる入り口。上部の「津奈木隧道」の表示も消えかかっています

冷たい空気が漂う津奈木隧道の内部。レンガ造りが時代を感じさせます