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(2)信仰あつい人々が住む集落で “幸を呼び込む木”に出会う

(2)信仰あつい人々が住む集落で “幸を呼び込む木”に出会う

2016年4月2日
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天井からつり下げたカシの木に毎年一本ずつ縄を足していく「幸木」。「魂」と呼ばれる熨斗を挟み込んであり、つり下げられた縄の数は、何事もなく家族が安泰に暮らせた年数の証だそうです

明治時代に禁教令が解かれると、再びカトリックの布教が始まりましたが、一方ではかくれキリシタン時代からの信仰を続ける人もいました。

その名残の文化が山あいの今富地区に残っています。この地区で伝承されているのが「幸木(さわぎ)」という正月飾りの風習です。作り手は、87歳の川嶋富登喜さんです。

幸木は3枚の熨斗(のし)を挟んだ飾りが特徴です。正月の間はこの飾りに加えて、野菜や注連縄、マリア様へのお供えを隠した臼飾りや、十字を模した杵を置きます。これは、神道とかくれキリシタンの飾りが融合したものだと伝えられています。

「幸木にゃ、“幸を呼び込む木”という意味があっとです。作る人は少のうなったばってん、先祖伝来の習わしは大切にしたかけんですね。家は父の代から神道じゃばって、神様にお仕えする気持ちは同じですたい」という川嶋さんの言葉には、意味深いものがあります。

「元気の秘けつは相撲観戦と歩くこと。毎朝歩いて体操したら、小屋まで走ってくっとです」と元気な川嶋富登喜さん

水方が聖水をくんだといわれる、水くみ場(今富地区)が残っています。うっそうとした茂みに囲まれ、静まり返っています

そんな川嶋さんはほぼ毎日、畑の中にある作業小屋で趣味の布草履作りに没頭しています。端切れで作るカラフルで愛らしい布草履の小物が人気です。土間に座り込み、両足でわらを引っ張りながら、器用に布を編み込んでいきます。

川嶋さんから、お守りにと布草履をいただきました。「よかことのありますように」という川嶋さんの言葉とともに草履を握りしめ、小屋を後にしました。

川嶋さんが編んだカラフルな布草履。「立原の里直売所」(河浦町新合)でお土産品として販売されています

「色の組み合わせも大事だもんな」とリズミカルに端切れを編み込んでいく川嶋さん。前日には、隣の集落の祭礼行列のために17足のわらじを納めたそう

川嶋さんから幸木の文化を受け継ぐ、おいの川田富博さん(64)

立原の里直売所