生活情報紙「あれんじ」公式サイト

(3)住吉の家庭料理「ノリのつくだ煮」 主婦らが商品化して特産品に

「風流(たわれ)島」

(3)住吉の家庭料理「ノリのつくだ煮」 主婦らが商品化して特産品に

2016年3月19日
|

奥に見えるのが住吉地区ならではのノリひびの風景。昔も今も変わりません

住吉地区から望む遠浅の有明海。干潟の先には、ノリ養殖のためのノリひびが整然と並んでいます。薄雲のすき間からこぼれる春の日差しを浴びキラキラと光って見えます。

住吉地区は、古くからノリの生産が盛んな地域です。ここには、「長部田海床路(ながべたかいしょうろ)」というちょっと変わった撮影スポットがあります。干潮になると、これまで海面下に隠れて見えなかった“舗装道路”が突如干潟の中に出現します。ノリ養殖など漁業者のための道路です。

干潮の時に漁に出られるように作られた道路「長部田海床路」。CMのロケ地になり、静かな人気です=資料写真

「ノリばちぎって、今海から上がってきたところよ」と日に焼けた元気な笑顔を見せるのは、昨年11月にオープンしたノリの加工品の物産館「海苔子の台所」代表の山本弘子さん(69)です。

「海苔子の台所」は住吉漁協女性部のノリ生産者6人が、週末だけオープンし、ノリやノリのつくだ煮などの加工品を販売している隠れた人気店です。

山本さんたちは、早朝から船で沖へ出て、まだ冷たい海水に揺れるノリをちぎります。海から上がってからも大忙し。かくはん、すき、乾燥、箱詰めと手を休める暇がありません。そんな仕事の合間に、海沿いに立つ小さな工房に集まり、おしゃべりしながらつくだ煮を作るのが、何よりの息抜きといいます。

おすすめは「のり子の一品」と名付けられたノリのつくだ煮です。この辺りでは、ノリを甘辛く味付けし、炊きあげたものを、おにぎりの具にします。ノリのざくざくとした食感と風味でご飯も進みます。

住吉産のノリを使ったつくだ煮「のり子の一品」。瓶入り(左)が450円、袋入りが350円

住吉地区の海沿いに立つ「海苔子の台所」。50年ぶりに復活した手すき天日干しノリ「住吉の天日干し海苔」など、こだわりの商品を買うことができます

「海苔子の台所」の=左から=奥村市子さん(57)、山本弘子さん、西山京子さん(64)、石本ひとみさん(51)、坂田まるみさん(56)

近くにある住吉自然公園には、ノリ養殖の恩人と呼ばれるイギリス人、ドゥルー・ベーカー女史(1901~1957)の石碑が建っています。女史は、ノリの成長の仕組みを解明、養殖の技術を広めました。1963(昭和38)年、宇土市のノリ生産者たちが、感謝の思いを込めて、有明海を一望できる住吉自然公園に記念碑を建てました。以来、毎年4月14日に、「ドゥルー祭」が開催されています。

イギリス・マンチェスター大学の海藻学者ドゥルー女史=資料写真

海が見下ろせる住吉自然公園の高台にドゥルー女史の碑が立っています

ドゥルーさんの碑が立つ高台から有明海を見下ろすと「風流島(たわれじま)」が見えました。この「風流島」は、1000年前の平安時代、伊勢物語や枕草子に詠まれています。

名にしおはば
あだにぞあるべきたはれ島
浪のぬれぎぬ着るといふなり
(伊勢物語)

風流島は、名前こそ“島”ですが、外周50mほどの岩礁です。小さな岩礁が遠く離れた都(京都)の貴人たちが歌に詠むほど知られていたのかと思うと、不思議な気分になりました。当時の交通手段がほとんど船だったことを考えれば、熊本に入る航路の目印として、都ではちょっと有名な島だったのかもしれません。

宇土市には、助けた鶴が恩返しをする伝説も残っています。野鶴町を歩くと、鶴見塚と書かれた小さなほこらをみることができます。

「はだか島」「たばこ島」とも呼ばれる「風流(たわれ)島」。海路が主な交通手段だった時代は熊本へ向かう目印でした

クスノキのたもとに、ひっそりと鶴見塚のほこらがありました

問い合わせ

海苔子の台所