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(2)農業から商品開発、販売まで 環境に優しい取り組みを追求

写真左側が日本で栽培する農家は菊池だけという「黒香」、右側が緒方さんがメーンで栽培している品種の「ユウジロウ」

(2)農業から商品開発、販売まで 環境に優しい取り組みを追求

2016年3月5日
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菊池に来たら訪ねてみたい「渡辺商店」。公式サイト「自然派きくち村」で通販も行っています

イベントで町を活気づける人がいる一方で、菊池ならではの特産品作りで菊池の魅力を発信する人たちがいます。

酒屋から一転して、環境にやさしい農業を応援し、その農産物を扱うようになったという「渡辺商店」を訪ねました。社長の渡辺義文さん(43)をはじめ、スタッフは30・40代と若手ぞろい。それでも染め抜きの前掛けをキリッと締めた姿は酒屋さんらしい出で立ちです。

店内には、みそやしょう油などの調味料、米作りから手掛けた日本酒、焼酎、緑茶やごぼう茶などが多彩にそろいます。そのほとんどが素材の生産から加工、パッケージデザインまで自社でプロデュースする「きくち村ブランド」の商品です。ネット通販により、全国から注文があるそうです。

商品開発に加えデザイン、撮影、さらに農業までこなす、「渡辺商店」のみなさん。写真左から、デザインやコピーを担当する今坂知章さん(41)、埼玉から移住し、森林と温泉が気に入っているという菅田由紀子さん(39)、社長の渡辺さん、商品のことは何でも詳しい坂本信也さん(39)

菊池の名菓「松風」を、菊池の安全安心な素材で作ったという「ごま松」(580円)。かわいいパッケージで、すぐれた地方産品を海外に広げるプロジェクト「The Won der 500」にも選出されました

「菊池の中山間地の農業を盛り上げたくて」と渡辺さん。その一貫として、中山間地や耕作放棄地にミカンやクリ、リンゴなどの果樹を植える「アグロフォレストリー」の活動もはじめました。

「ヒノキやスギばかりだと、エサがなくてイノシシが町まで降りてくることも多くなったんです。人間が壊してきた森を、これからは人の手で再生していかないと」。同店では、人に、動物に恵みをもたらす森づくりを応援するサポーターも募集しています。

今年で2回目の「アグロフォレストリー・植樹祭」は3月6日(日)に開催。写真は、昨年、龍門ダム付近での植樹の模様(資料写真/渡辺商店)

問い合わせ

渡辺商店

 

菊池の春の香りとして定着しています

菊池の特産の一つがシイタケです。竜門ダムを越えて大分との県境に近い班蛇口(はんじゃく)地区に向かいました。ここで原木シイタケ栽培を行っているのが緒方啓一さん(66)、重子さん(63)夫妻です。

雨靄(あまもや)で山々が水墨画のように。ひと雨ごとに春に近づくといっても、県境の付近はまだまだ肌寒さを感じます(班蛇口地区)

シイタケが栽培されている森に案内してもらうと、シンと静かな杉林の中に、ビッシリとシイタケが付いたホダ木が整然と並んでいました。

「原木栽培は、木を倒してから2年、菌を植え付けて1年半かかるんですよ」と夫の啓一さん。冬の間に寒波の刺激を受けることで、香りが良く、プリッとした歯応えのシイタケになるとか。想像以上に手間暇がかかります。

スギの木々の間に整然と並べられたホダ木

「だから昔から“シイタケはこうだいか(貴重な)”と言って、大切に育ててきたんですよ」と妻の重子さん。

一昨年には、原種に近い品種“204”を、緒方さん夫妻を含む5組の生産者で復活させました。「ほら、色が全然違うでしょ。黒くて香りが強いので、“黒香(くろか)”と名付けたんですよ」と、主流の品種“ユウジロウ”と比べると、傘の色が真っ黒で、指で押してみるとミチッとした弾力があります。

「昔はどこでも“204”を作りよったけど、ホダ木から取りにくいし収量も少ないし、徐々に改良されていったんです。でも、この味が忘れられなくてね。ダシもうまいし、含め煮や南蛮にしてもうまいですよ」。“黒香”は3月頃に収穫され、菊池の春の香りとして定着しています。

緒方さんの「黒香」は「きくち観光物産館」で販売されています

写真左側が日本で栽培する農家は菊池だけという「黒香」、右側が緒方さんがメーンで栽培している品種の「ユウジロウ」

幻の椎茸204の商品名「黒香」は、乾燥させて販売。今年は5月頃から出荷される予定です。1袋1100円

「黒香は傘が薄いのでコリコリとした歯応え。東京でも人気があるんですよ」と「黒香は傘が薄いのでコリコリとした歯応え。東京でも人気があるんですよ」と緒方啓一さん、重子さん夫妻

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きくち観光物産館