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(1)地球にやさしい「冬水田んぼ」 エイ子ばーちゃんのやしゃばたけ(野菜畑)

ばーちゃん手作りのわらつと納豆

(1)地球にやさしい「冬水田んぼ」 エイ子ばーちゃんのやしゃばたけ(野菜畑)

2016年2月6日
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向かって左が船野山、右が飯田山。田には、麦の芽が青々と育っています

下陳地区で見ることができる「冬水田んぼ」。田んぼに張られた水が空の青色を映してキラキラ光っています

立春の声を聞くと、冴え冴えとした空の下にいても、心は春に抱かれているかのようです。

木山川の流れはゆるやかで、この季節、益城町下陳地区では水田に青空を映した「冬水田んぼ」を見ることができます。これは冬の間の休耕田に水を張ることで肥沃土(ひよくど)を生成し、雑草を少なくし、地下水のかん養を図る自然農法です。

ところで、近頃になって覚えた言葉が「穭田(ひつじだ)」です。稲刈り後の稲の切り株から、青々とした稲の芽が再び生え出ている田んぼのことです。水を張った穭田は、この寒い季節にもう田植えを終えたのかと見間違いそうになります。

船野山(ふなのやま・標高308m)や飯田山(いいださん・同431m)を望む風景、四季折々に色を移す田畑、木山川や秋津川の土手に渡る風、夕刻の路地に流れる台所からの匂い、それがこの町に生まれ育った私にとっての故郷の色と香りです。

益城町総合体育館近くにある「秋津川河川公園」は、春の桜の名所です

そんな豊かな色に染まる故郷の、山間の福原地区に住む元気なおばあちゃんがいます。真土(まつち)エイ子さんは今年92歳。エイ子ばーちゃんの宝物は、自宅の敷地内にある「やしゃばたけ(野菜畑)」です。ふっくらと土を耕し、肥やしをやり、愛情を注いで仕立てた畑で多種の野菜を年中育てています。

「今日あたり大根ば抜いてしまわんと、トウの立ちよる」。そう言って後ろ手を組み、畑に向かう長靴の足取りは軽やかです。跡取り娘だったエイ子ばーちゃんは、亡き夫との間に3人の子どもに恵まれました。週末はやんちゃなひ孫たちの声が古い家の中に響きます。

エイ子ばーちゃんの「やしゃばたけ」。たくさんの冬野菜が育っています

エイ子ばーちゃんはブロッコリーだって作っています

畑の唐辛子も生きがよくて色も鮮やか

鳥の声が澄み渡る、のどかな山里にあるエイ子ばーちゃんの家

「写真な恥ずかしかー」とエイ子ばーちゃん。帽子は孫娘からの贈り物

「たぁだ毎日、ここで何十年も暮らしとるだけで、私の話なんてろん、なぁんのためにもならんどたい?」

何度も首を傾げては、正月の餅を焼き、手作りのわらつと納豆をはさんで「お食べ」と手渡してくれます。時代がどんなに進化しても、エイ子ばーちゃんの生活スタイルは昔のまんま。シンプルでありながら、暮らしの知恵が詰まった生き方には学びたいことばかりです。

「ほほ、ゆんべ雨ん降ったけん、ここまで上ってきたつかい?」。台所入り口の土間に、下の川からやって来たサワガニがいました。ソロリソロリの横歩きを目を細めて追いかけるエイ子ばーちゃんの姿に、心がほっこりとなります。

ばーちゃん手作りのわらつと納豆

ばーちゃんの家の近くにある川。春にはクレソンなどが取れます

近くの川からばーちゃんの家までやって来たサワガニ