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(3)陽光に色と光が弾ける万江(まえ)川 “昭和”が停車する“洋館ステーション”

「時代の駅むらやくば」

(3)陽光に色と光が弾ける万江(まえ)川 “昭和”が停車する“洋館ステーション”

2015年11月7日
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屋形地区を流れる万江川。激しい瀬音が耳を打ちます

山江村の誰もが自慢するのが、万江川の美しさです。中流域の水の色は、目を見張るほど鮮やかなエメラルド色。さらに上流では、その色は一転。深山の冷気が奥深い山懐から吐き出されてきたような、冴えたコバルトブルーになります。

万江川のほとりに立つと、その水量の豊かさ、水の輝きに驚かされます

下流へと戻る道筋で、万江川に寄り添うように家々が建ち並ぶ集落「屋形(やかた)」に立ち寄りました。

「夏は、家から缶ビールを持って川に降りて、浅瀬の石に腰掛けて飲むとですよ。川の水で足がひんやり冷たくなって、そら~もう最高! 春・夏もいいけれど、冬の景色もきれいですよ。雪が降る時は、川の上流域の集落に行くほど積雪の量が多いですね」と教えてくれたのは、自家菜園の手入れ中の田中章雄さん(66)。川をさかのぼるにつれ深まっていくという雪景色を見てみたいものです。

静かな家並みが続く屋形地区

自家菜園を世話する手を休めて取材に応じてくれた田中さん

現在の村役場に近い場所に、1937(昭和12)年建造の旧山江村役場が残っています。建物はレストランを備えた「時代(とき)の駅むらやくば」として活用され、今も現役。

フロアの一隅に、古い足踏みミシンや昭和30年代前半のラジオが飾られていました。ラジオは村内の家庭で実際に愛用されていた品。どっしりした箱型の外観や太い音量ツマミに、アナログならではの温かさがあります。まだテレビが普及する前、茶の間で家族全員がラジオを囲んでいた時代の情景が浮かんでくるようです。そんな古い時代(とき)の思い出が停車するのが、ここ“時代(とき)の駅”なのです。

茶色の板壁や三角屋根の玄関ポーチがノスタルジックな「時代の駅むらやくば」

北側の窓辺に立つと、透けるカーテン越しにレトロな石倉が見えました。石積みの壁のひんやりとした灰白色のグラデーション、その傍らに点々と咲く野の花の鮮やかな紅色が映えます。この穀物倉庫・通称「山江倉庫2号」も古く、1941(昭和16)年の建築。人吉・球磨地方の米倉庫では唯一の国登録有形文化財で、「石倉巡り」が好きな人なら見逃せません。

間口約18.6mの「山江倉庫2号」。横から見る姿にも重厚な存在感があります