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(2)特産のクリを生む豊かな台地 優雅な歌で舞う「大河内扇踊り」

大河内扇踊り

(2)特産のクリを生む豊かな台地 優雅な歌で舞う「大河内扇踊り」

2015年11月7日
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山江村のクリ栽培にとって、今年は試練の年でした。「春先の長雨でイガの付きが思わしくなく、加えて梅雨時の日照不足や8月の台風被害。村全体が大きな被害を受けました」と話すのは、山江村果樹研究会会長の豊永高希(たかき)さん(65)。

ですが、無事収穫されたクリを見てみると、豊永さんが手掛けたクリは大粒でツヤツヤ。温暖な気候で昼夜の寒暖差が大きく、赤土土壌の山江村は、クリ栽培にはうってつけだそうです。

高希さんの亡き父・秋吉さんは、「接ぎ木」など収量アップを図る技術の普及に熱心だったといいます。「85歳まで、球磨盆地を一望する台地の畑で鳥のさえずりを聞きながら現役を続けた父は、私の理想です」と高希さん。最近、小学校5年生のお孫さんが「じいちゃんみたいにクリの栽培がしたい」と言い出し、それが何よりうれしかったと目尻を下げます。

豊永さんが育てたクリ。右のかごの色の濃いクリが、「やまえ栗」を代表する品種「利平(りへい)」です

豊永さん宅の玄関前には、お孫さんが「じいちゃんの柿の木」と呼ぶ柿の大樹がそびえていました

豊永高希さん、千代子さん夫妻。2人は中学校の同級生だそうです

豊永家では、奥さんの千代子さん(64)の手作り料理にもてなされました。「漬物、フキもミョウガも梅も全部うちで作ったんですよ」とすすめられるまま、すっかりごちそうになりました。

その一つ、栗まんじゅうは、実は高希さんの姉の川村悦子さん(67)が夫の睦夫さん(70)と営む「まんじゅう処七福」の人気商品。クリだけで作るあんを使っているのが特長です。食べてみると、軟らかな栗あんがホロホロ崩れて、その香りが口いっぱいに広がります。

「まんじゅう処七福」の栗まんじゅう(1個100円)。卸売が主ですが、電話予約で小売も可能です

「ぽろたん栗」はその名の通り、電子レンジで加熱するだけでこのようにポロッと楽に皮がむけます

豊永さん宅のもてなしの数々。漬け物、柿、梅干しなどどれもやさしい味わい


また、悦子さんは村の伝統芸能「大河内扇踊り」保存会代表を務めています。踊りでは、口三味線に合わせ、1人3枚の扇を持った6人が一組で「山路」や「船」など7つの形を表現します。録音された地元の人の昔の歌を悦子さんが聞かせてくれました。歌詞には表現する型が順に織り込まれています。

〽おなみ(男波=大波)が打てば
こなみが打つ 打つやさざなみ
青海波(中略)どーっと打てば、
さーっと引いて おもしろや

これは「船」の型の節。ゆっくりと古色豊かな節回しが優雅な趣を醸し出していました。

毎年秋の「やまえ産業振興まつり」では、保存会監修による地元中学生の扇踊りが披露され、次世代への継承が行われています。

写真のように扇で三角の「大文字」や丸い「梅鉢」の形を作りながら踊る「大河内扇踊り」(資料写真=同保存会提供)

「大河内扇踊り」保存会代表の川村悦子さん

まんじゅう処七福

  • TEL.0966-24-6067
  • (電話は18時半〜20時半に)
  • ※卸売主体だが電話予約で小売りも可
  • ※「山江村物産館ゆっくり」でも販売