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(1)思いを込めて記録する村の四季 中世の面影が色濃く漂う寺社

山田大王神社

(1)思いを込めて記録する村の四季 中世の面影が色濃く漂う寺社

2015年11月7日
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澄んだ青空の下、色づいていく山々や田畑(山江村役場近く)

抜けるように澄んだ空が気持ちいい晩秋の朝。空の高い所には、白い穂先でツイっとひと筆大きく払ったような細い筋雲が浮かんでいます。田んぼには、空の青と対照的な黄色い稲穂がずらりと一直線に掛け干しされていました。

そんな田園風景を撮影していたのは、趣味で山江村の光景を撮り続けている川口伸也さん(32)です。役場に勤める川口さんが生まれ育った村のすばらしさに気づいたのは、8年ほど前。仕事で東京に一年間滞在して帰郷した時でした。

「春には村じゅうの田に張られた水が鏡のようにあたり一面の景色を映し出しますし、黄金色の夕暮れや山にかかる霧など、この村にはこんなにも感動的な景色があふれていたんだと再認識したんです」と川口さん。「ならば、それをスナップ写真に残してみんなに見てもらいたい」と独学で村の風景を撮り始めました。川口さんは、写真を通して村の光景や風物の価値を再認識する人の輪が広がっていくことを願っています。

同村丸岡でクリ畑の夫妻を撮影した川口さんの作品(2009年秋撮影)

刈り取りが終わった田をバックに立つ、愛機を手にした川口伸也さん

役場北側の道を西へ歩いていると、金色の擬宝珠に朱塗りの欄干を備えた雅な「大王橋」が見えてきました。橋を渡ったところにあるのが、「山田大王神社」(国指定重要文化財)です。中世の神社建築の姿を伝える貴重な存在で、相良氏の治世以前にこの地の地頭だった平河次郎藤高が祭られています。

神社後方の高台にあるのは、球磨地方で最古といわれる寺院「高寺(たかてら)院」。同院は、「木造毘沙門天立像」(3体のうち2体は国指定重要文化財)を蔵しています。クスの巨木を用いた平安末期の一木造の像は、球磨のみならず日本の至宝です(※参拝については事前に電話連絡が必要)。

いにしえの人々が仏に捧げたあつい信仰を、時を超えて目にした気がしました。

見事なかやぶき屋根が目をひく「山田大王神社」

西田川に架かる「大王橋」。朱塗りの欄干が秋景色に際立ちます。ここから「山田大王神社」へ向かいます

貴重な文化財を収めた「高寺院」の収蔵庫(参拝は事前に同院 TEL:0966-23-3051に連絡を)

子ども専用図書室「やまええほんの森」。木をふんだんに使った館内は、薪ストーブの暖かさに包まれた畳コーナーで本が読めるステキな設計です。2階は「山江村歴史民俗資料館」