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(5)うたせ船好きの店主が作る 芦北の海の幸に舌鼓

(5)うたせ船好きの店主が作る 芦北の海の幸に舌鼓

2015年10月3日
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おれんじ鉄道「佐敷駅」

さて、気づけばもうお昼どき。芦北の海の幸を満喫しようと「お食事処 味富家(みとや)」を訪ねました。「佐敷駅」の前にあるこの店では、うたせ船の漁で捕れたばかりのエビや魚を中心に、芦北の旬の魚介を味わえます。

カウンターの向こうでにこやかに出迎えてくれたのは、店主の山下保信さん(60)。水俣で生まれ育った山下さんは、22歳で料理人を志し、各地で修業を重ねた後、23年前に帰郷して店を開きました。

「私は、うたせ船が大好きなんです。風の力を借りた漁だから、乱獲もしないでしょう。その日必要な分だけを、海の恵みとしていただく。そんな営みがこれからも続けばいいなと思います」と山下さん。

佐敷駅前の「味富家」。夜は単品や宴会メニューも

特に人気の「地魚定食」800円。その日水揚げされたばかりの地魚を、唐揚げ、焼き物、煮ものなどお好みの調理法で提供してくれます=味富家

「良かったら、これも召し上がってください」

おもむろに差し出されたのは、コチの刺し身とヒイカとイシエビの盛り合わせ。しかし、どこか見覚えのある大きさのシャクが2匹のっています。もしや!? と尋ねると、予想は的中。うたせ船の遠山さんご夫妻が、朝の釣果を山下さんへ託してくれていたのです。申し訳なさで恐縮しつつ、ありがたくいただきました。

刺し身のおいしさはもちろんですが、中でも生のイシエビを殻ごとたたき、薄くのばしてカラリと揚げたエビせんべいのうまさといったら! パリッとした殻の食感と、噛みしめるたびに鼻の奥にぬける香ばしいうま味があとを引きます。

最後の一枚を食べ終えるのが、名残惜しくなるほどです。これだけのおいしい魚介を昼間から味わえるなんて、ぜいたくこの上ありません。ビールをオーダーしたくなる衝動をグッとこらえます。

朝、キラキラと輝いていたヒイカとイシエビ、シャクがぜいたくな盛り合わせで登場

コチの刺し身も

イシエビを殻ごとたたき、衣をつけて上げた特製エビせんべい。あまりのおいしさに手が止まりません

「味富家」の店主・山下保信さん(60)

問い合わせ

味富家

 

次へとつないでいく精神

プチ旅の締めくくりに、土産を探そうと、JAあしきたの直売所「ファーマーズマーケットでこぽん」を訪ねました。農産物やあしきた牛、鮮魚や加工品がずらりと並び、スーパー感覚で買い物ができるほどの充実ぶり。保冷バックは欠かせません。

昔からこの町で当たり前のように繰り返されてきた営みに触れて感じたことは、海や山への配慮です。その命に感謝し、過分に求めず、次へとつないでいく精神。ここにはそんなほがらかさが息づいています。

すっかりと冷たくなった風を受けても、心はほっこりと温かくなるばかりでした。

芦北の魚介や肉、野菜などがそろう「JA あしきたファーマーズマーケットでこぽん」

問い合わせ

JAあしきた「ファーマーズマーケットでこぽん」