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(3)海を望む地で新たな一歩 昔ながらの黒砂糖

2mほどに伸びたサトウキビ

(3)海を望む地で新たな一歩 昔ながらの黒砂糖

2015年10月3日
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計石漁港と女島をつなぐ「芦北大橋」

潮風香る海辺の女島(めしま)地区。明るい日差しを浴びて稲などの作物がスクスクと育っています。その中に、熊本では珍しいサトウキビが育つ畑を見つけました。

精神障害者の作業所「ばらん家(ち)」(NPO法人、松原久美子理事長、68)が耕作放棄地を活用して、サトウキビを栽培しているのです。

海風が通り抜ける女島は、霜や雪の被害も少なく、サトウキビ栽培に適しているのだそうです。松原さんはそんな地の利を生かし、4年前からサトウキビの無農薬栽培をスタートさせました。年間約1万本を収穫し、自社工場で黒砂糖を製造しています。

松原さんは、かつて保健師として仕事をしていました。身体的・知的・精神的疾患などによる、“暮らしにくさ”を抱える人たちに自立のきっかけを作ろうと、2006(平成19)年に「ばらん家」を立ち上げました。

「人間はみんないろいろな個性を持っているでしょう? バラバラな個性を持つ人たちが、 “松原の家”に集まるから“ばらん家”なの。人とのコミュニケーションが苦手な彼らも、自然が相手の農業ならしっかり取り組んでくれるんです」

2mほどに伸びたサトウキビが、海風に揺れていました

サトウキビ畑の向こうに広がる穏やかな海

11月末になると、作業場は大忙し。収穫したばかりのサトウキビを圧搾機にかけ、あくを取り除いて、薪釜(まきがま)で煮詰め、冷やし固めるという昔ながらの製法で、黒砂糖を作ります。

そうしてできた黒砂糖は、美しい茶色をしています。小さな塊を口に含むと、たちまちホロホロと溶けていき、深いコクとやわらかな甘みの余韻がたまりません。

その深い味わいは、人にも作物にも無理をさせない、松原さんの強さとやさしさそのものにも思えます。

ばらん家の黒砂糖は、芦北町の農産物直売所「ファーマーズマーケットでこぽん」などでも販売されています。

「ばらん家」代表の松原久美子さん(前列右から2人目)と作業所の皆さん。カラッと明るい松原さんの周りには、いつも笑顔があふれます

ばらん家の黒砂糖は、明るい茶色をしています

NPO法人 ばらん家

  • 葦北郡芦北町佐敷443-79
  • TEL.0966-82-4990
  • 問/10時〜17時
  • ※黒砂糖は「ファーマーズマーケットでこぽん」(芦北町)、「M’s city」「もじょか堂」(水俣市)、「WHOLE SQUARE」(熊本市)などで購入できます