
菊池市七城町にあった旧緒方家を移築した古民家は、居心地がよく、ついつい時間を忘れてしまいそう
歴史ある町に新たな風を吹き込む地元の人たちがいます。
「KINON cafe and arts」は、肥後民家村内にある築250年の茅葺(かやぶ)きの古民家に、昨年7月にオープンしたカフェです。上妻貴子さん(48)と野乃花さん(21)親子が手作りするスイーツやランチが人気で、夫で木彫家の利弘さん(54)が手がけたテーブルやオブジェなどの木工作品に囲まれ、心が癒やされます。
茅葺きで天井が高い室内は、クーラーなしでもひんやりと心地いい空間です。
「カフェに来る人たちが、自然とつながりあえるような場を作りたかったんです」と語る野乃花さん。中でも、貴子さんがセレクトした雑貨は、ステキなものばかり。
壁一面に並べられた本を読んだり、思い思いの時間をゆっくりと過ごしているうちに、隣のテーブルの人ともおしゃべりが弾んでしまうから不思議です。
この町を愛してやまないという上妻さん一家。“生まれも育ちも和水町”という利弘さんは「子どものころ、道しるべにしていた木が、今も同じ場所に立ってる。それだけで、安心するんですよ」と語ります。
「和水町の子どもたちが、将来都会に出ても、いずれ帰って来たいと思えるような楽しい思い出をいっぱい作ってあげたい」
そう語る利弘さんは、カフェでぶんぶんゴマ作りのワークショップを開くなど、さまざまな企画に取り組んでいます。

「KINON(キノン)は、高校時代のわたしのニックネームなんです」と野乃花さん(左)。チャーミングな木彫家の父・利弘さんとともに

玄米スコーンセットランチ(1000円)。この日の日替わりスープはミネストローネでした

玄米を1時間半いって、丁寧に作られる玄米スコーン(450円)。自家製季節のジャムとバター付き

利弘さんのバターナイフ「テタール」(大・3800円、小・3000円 いずれも税別)。刃先がテーブルにつかない優れもの