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(1)阿蘇谷の夏を彩る御田祭 幻想的な宇奈利の白装束

薄く軽やかな宇奈利の衣装

(1)阿蘇谷の夏を彩る御田祭 幻想的な宇奈利の白装束

2015年7月4日
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阿蘇国造りの神々を祭る「阿蘇神社」の拝殿

阿蘇カルデラの中心に位置する阿蘇市一の宮町。千枚田と呼ばれる広大な水田地帯には、緑のさざ波がキラキラと光り、夏のまぶしさにあふれています。

一の宮町のシンボルといえるのが創建2300年を超える阿蘇神社。「肥後一の宮」と呼ばれ、一帯が神社の神域であったことから町名になりました。阿蘇の山々、緑の草原、いたる所から湧き出る清らかな水…阿蘇の風景を眺めていると、火の国を切り開いた神々が宿る町であることを実感します。

「阿蘇神社」の境内にある「高砂の松」の周囲を回りながら縁結び祈願。謡曲「高砂」に由来するのでそう呼ばれます

「阿蘇神社」の手水(ちょうず)の流れは豪快。さすが豊富な地下水を誇るだけあります

毎年7月28日に行われるのが阿蘇神社に伝わる農耕祭事「御田祭(おんだまつり)」。阿蘇を開拓した神々がみこしに乗り、猿田彦の道案内で稲の育ちを見て回るという神幸行列です。

阿蘇神社から出発した行列には、獅子、田楽、早乙女、四基のみこし、田植人形などがお伴します。なかでもカメラマンの注目を集めるのが、神々の昼食を入れたおひつを持つ白装束の宇奈利(うなり)の列です。

緑の田んぼの中を歩く白装束の宇奈利。幻想的な光景は一の宮の夏の風物詩。阿蘇神社では14人、国造神社では6人の宇奈利が進行します=写真・阿蘇市観光課

薄く軽やかな宇奈利の衣装。丸いクッションはおひつを載せるために頭に付けます=阿蘇神社

「小さい頃から携わっているお祭りです」と話すのは、20年ほど前から宇奈利として参加している井小夜美さん(64)。暑さが増す時季、白装束のいでたちで進行するのは大変そうですが「神様のおそばにいさせてもらえて、ありがたい気持ちでいっぱい。自然と背筋もシャンと伸びて、衣装も風が抜けるように作ってあって涼しいんです」と、緊張感がかえって心地いいと言います。

緑が美しい田んぼの中をゆっくりゆっくりと進む宇奈利の行列。「私の宝物のような存在」と言う井さんの言葉が響いてきます。

「宇奈利は江戸時代から登場し、早乙女が変容したものと考えられています」と「阿蘇神社」権根宜(ごんねぎ)の池浦秀隆さん(43)

井小夜美さんは「子どものころ、御田祭が近づくと“御田着物(おんだぎもん)”と言って両親が晴れ着を買ってくれたんですよ」と、祭の思い出を話してくれました

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阿蘇神社