生活情報紙「あれんじ」公式サイト

(2)親切な夫婦船にお邪魔して 海から島をぐるりと一巡り

茂った葉がハート形に見えるアコウの木

(2)親切な夫婦船にお邪魔して 海から島をぐるりと一巡り

2015年6月20日
|

ウミガメが産卵に上陸する浜辺

見渡せば、美しい海、海、海。晴天に恵まれたその日の湯島は、渡る風のおかげで暑さをさほど感じません。

いつも聞き慣れている車のエンジン音が全く聞こえないせいでしょうか、風や波の音、船の汽笛といった、そんな“島音”に心がほどけていきます。

さて湯島には、6月中旬から7月中旬ごろ、夜の浜辺にウミガメが産卵のために上陸するそうです。ここはウミガメにとって貴重な産卵場所であり、島の人たちはその時分には浜に近づかず、孵化(ふか)して無事に海へ帰るまで、そっと見守ります。

島の船泊りで、真っ黒に日焼けした海の男に出会いました。「何が捕れますか?」と声をかけると「これからはヒラメ、ワタリガニたい」と渡辺重男(しげお)さん(48)。精悍(せいかん)な顔つきから一変し、目尻に寄ったその笑いジワに、たちまち親しみを覚えます。

「お父さーん!」と、手を振りながら重男さんの元へバイクでやって来たのは妻の久美さん(41)です。化粧っ気なしの元気母ちゃんは島育ちかと思いきや、岱明町(玉名市)出身と聞いて驚きです。

「お父さんは毎日みそ汁がないとダメなんです」という妻の久美さんの隣で大らかに笑う重男さん

「20歳のとき、ご縁あって私の地元で重男さんに出会い1カ月半でスピード結婚(笑)。島での苦労なんて感じたことはなかね。この島はおおらかで、ギスギスして暮らさなくていいからストレスもなかよ」と久美さんが底抜けの明るい笑顔を見せます。

久美さんは重男さんの漁を手伝いながら、3人の息子を育てました。長男(21)は島で働き、次男(19歳)は造船会社(玉名市)に勤務、三男(17)は高校3年生です。

「4人の息子がいるようなもんだけど、海に出たお父さんは、そりゃ格好いいとよ。船首で2人でタイタニックのポーズをとってふざけあうこともあるよ(笑)」と言う久美さんの隣で、熱い海の男は照れ笑いをしておりました。

「よし! みんなでこれから船で、島を一周するか?」と重男さんが提案。思わず「うん!いいねっ!」と久美さんに顔を見合わせて笑えば、昔から友だちのような親しみがわいてきます。

渡辺さんの夫婦船で島をぐるりと一周

「海に出たら格好いい」と言った久美さんの言葉通り、いい男っぷりを見せる操縦席の重男さん

船で巡れば、いろんな島の表情が見えてきます

湯島の灯台が見えます

船でぐるりと巡れば、この小さい島の営みが伝わってくるようです。海で漁をする人、浜辺で貝を採る人、山の頂上で畑を耕す人と、全ての人が、この島の恵みに感謝して暮らしていることを感じてなりません。

船首に立ち海風を受けるとそれは爽快で、操縦席の重男さんと久美さんを振り返ると、満面の笑顔を向けていてくれました。

始終笑いが絶えない渡辺夫妻。とてもステキなカップルです

夫婦船を下り浜の通りを歩いていたら、大きなアコウの木を見つけました。一本の幹から枝が広がり、茂った葉がハートの形をしているではないですか。

ここは良縁スポットらしく、ついさっきまで当てられていた渡辺夫妻の熱々ぶりが、アコウの木と重なります。

茂った葉がハート形に見えるアコウの木。良縁スポットです

定年後、名古屋から島に戻った古賀徳雄さん(65)。ウニを捕ったり釣りをしたりのうらやましい日々