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(4)愛され続ける懐かしい味と 海の幸を生かす新たな挑戦

「水イカのカルパッチョ」600円

(4)愛され続ける懐かしい味と 海の幸を生かす新たな挑戦

2015年4月18日
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今も昔も変わらない「吉永製パン所」の人気のパン。左・ジャムパン110円、右・あんパン90円、奥・フレンチトースト150円

子どものころの“買い食い”の記憶を呼び覚ます、パン屋さんを見つけました。創業70年「吉永製パン所」の店頭では、ジャムパン(110円)や、バターミルクのクリームが入ったそぼろパン(120円)など、懐かしい味のパンが売られています。

3代目の右山秀幸さん(36)は4年前に帰郷し、弟の龍也さん(31)とともに両親の店を継ぎました。

「若者が減少する故郷のことを思ったら、帰らなきゃって。店を継ぐにあたり新商品も考案しました。でも、変えることは簡単だけど、守り続ける我慢強さも大切だと、昔ながらのパンを作っています」と秀幸さん。

親子で並んで収まる写真の柔らかい笑顔に、町の人に愛されてきた味の理由が分かる気がします。

仲の良い右山さん親子。左から長男の秀幸さん、曜子さん(61)、幸七さん(66)、次男の龍也さん(31)

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吉永製パン所

 

風の向きで、火の入れ具合も変わります

ハイヤ大橋の途中から分かれ道を下り、対岸の地区へと渡ってみました。堤防では太公望の姿を多く見かけ、一角にある工場ではさば節(ぶし)がいぶされていました。火入れをしていたのは「西岡勝次商店」の山口大地さん(24)です。

「ここじゃ、いぶすことを、“こかし”といいます。風の向きで、火の入れ具合も変わります」。同店のさば節は、大阪や東京の料亭、全国のうどん店で重宝されているそうです。

関東・関西の料亭に向け出荷される「西岡勝次商店」のさば節

火入れに忙しい「西岡勝次商店」の山口大地さん

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西岡勝次商店

 

思わずワインが欲しくなります

食材にこだわるほどに、故郷・牛深の海の幸にいきついた、というイタリアン料理人が、「ラ・モト」の原田圭一郎さん(47)です。以前は熊本市内で店を構え、多くのファンを魅了させたオーナーシェフで、牛深に移転して2年になります。

「こっちは時間のリズムがゆるやかで、僕の性に合ってる気がします。予約のお客さまに、今日はどんな料理をお出ししようかと、釣りをしながら考えるなんて、向こうではありえないことでした。すぐ目の前が海なんて、幸せ過ぎます(笑)」

原田さんが釣ったばかりの水イカで、カルパッチョとイカスミのパスタを作ってくれました。透明で肉厚な水イカは甘みがあり、オリーブオイルの香りを引き立てます。一方のパスタは、濃厚なイカスミの風味がアルデンテの麵とほどよく絡まり、思わずワインが欲しくなります。

次回は泊まる宿を決めて、原田さんが腕を振るう料理に、ゆっくりとグラスを傾けたいものです。

ハイヤ大橋から眺める、牛深の町並みが好きです。深く碧(あお)く広がる海に感謝をしながら、人々が寄り添い合う日常が伝わってくるからでしょうか。たとえ一日の短い滞在時間であっても、そのほがらかで、温かい人柄にたっぷりと甘えることができます。牛深は、人と人の心の距離がとても近い町に思えてなりません。

釣ったばかりの水イカで作ってくれた「水イカのカルパッチョ」600円=ラ・モト

原田さんが作る「イカスミのパスタ」900円

故郷・牛深に戻ってイタリアン料理を極める原田圭一郎さん

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ラ・モト