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(3)広大な干潟は生き物の宝庫 渡り鳥たちの大事なエサ場

(3)広大な干潟は生き物の宝庫 渡り鳥たちの大事なエサ場

2015年4月4日
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JR南荒尾駅からすぐの蔵満(くらみつ)海岸から見た「荒尾干潟」。広大な干潟はノリやアサリなど多くの恵みをもたらします

荒尾には後世に残したい貴重な遺産がもう一つあります。有明海に面する「荒尾干潟」です。干潮時になると、南北9.1km、最大幅3.2km、面積約1656haの干潟が現れます。特に夕暮れは、干潟の描く縞模様に光が反射して、キラキラと輝いてとてもキレイです。

「日本の干潟の40%は有明海にあるんです。中でも、荒尾干潟は、2012年7月にラムサール条約に登録され、荒尾干潟を中継地・休息地にする渡り鳥たちも喜んでいると思います」と、「日本野鳥の会熊本県支部」の安尾征三郎さん(75)。

「荒尾干潟がラムサール条約に登録されて、佐賀県の沿岸の町でも登録に向けての運動が起こっています」と安尾征三郎さん。条約認定により干潟の持つ素晴らしさが再認識されると話してくれました

4月〜5月上旬まで荒尾干潟で休息するオオソリハシシギ。「探鳥会」でも観測できるかもしれません=写真提供/西村誠さん 参加費/大人100円、子ども無料。問/日本野鳥の会熊本県支部・荒玉地区Tel.0968-62-3402(安尾さん)

干潟の景色で感動的なのが渡り鳥の飛翔。荒尾干潟はエサも豊富で、渡り鳥にとっての楽園です=写真提供/西村誠さん

4〜5月にかけては4000〜6000ものシギ・チドリ類が飛来します。「干潟から空に向かって、一斉に飛び立つ姿は、美しく壮大な光景ですよ」と言う安尾さんは、かつて炭鉱で坑内電気工として働いていました。定年退職後に、野鳥の保護に取り組むようになったのには理由があります。

干潟の向こうに広がる海の中に、小さな人工島・三池島があります。島の中央には直径6メートルの吸気立て坑が大きな口を開けています。深さは520m、地底下の採炭場へ新鮮な空気を送るためのものです。

平成5(1993)年のある日、坑内巡回中の安尾さんは、吸気立て坑の下へ来ると水鳥たちが折り重なるように死んでいるのを発見しました。この光景は炭鉱で亡くなった仲間のこと思い出させたのでした。炭鉱の作業は、死と隣り合わせの危険な仕事です。安尾さんは、これまで事故で多くの仲間を失ってきました。

「吸気口に吸い込まれて、520mの地下にたたきつけられていたんですよ。中には、まだ息をして横たわる鳥もいてね。保護して空に戻してあげました。それからというもの、人間が造った設備で犠牲になった鳥たちのことを思うと胸が痛くてね…」

その後、吸気立て坑の口には野鳥の防護柵が張られました。

安尾さんは定年を機に今日まで、野鳥を守る活動を続けています。干潟に舞い下りてくる野鳥の姿を優しく見守っています。

安尾さんの野鳥に寄せる思いは、「荒尾干潟物語」として絵本にもなり、子どもたちへと語り継いでいます。

「荒尾市浄水センター」横にある「おもやい市民花壇」。市民の愛情で育てられたバラ園は、5月頃から見頃になります

白く小さい梨の花は4月上旬が見頃に。荒尾市内に点在する梨畑で見られますが、見学の際は畑の中に入らないなどマナーを守って!

探鳥会

4月19日(日)10時〜
■参加費/大人100円、子ども無料
■問/日本野鳥の会熊本県支部・荒玉地区
TEL.090-3015-1420(安尾さん)

荒尾干潟

 

おもやい市民花壇