生活情報紙「あれんじ」公式サイト

(1)水面の青に映える優雅な姿 鞍岳見るなら湯舟の堤から

周囲をぐるりと桜並木が取り囲む「湯舟の堤

(1)水面の青に映える優雅な姿 鞍岳見るなら湯舟の堤から

2015年3月21日
|

道ばたで可憐なオオイヌノフグリを発見。春を感じます

川のあちこちにクレソンがこんもりと茂っています

見渡すかぎり、なだらかな丘陵と田園が広がる里山の風景。旭志の中心部を流れる合志川(菊池川水系)沿いの土手には、イヌフグリやホトケノザの花が若草色のじゅうたんに、薄水色やピンクのアクセントをつけています。

「ンモーッ」。近くの牛舎から、のんびりとした牛の声が聞こえてきました。空は高く青く、絵に描いたような、牧歌的な風景です。

キラキラと陽光を受けて流れる川面に、緑色の葉がこんもりと茂っているのを見つけました。あちこちにクレソンが自生しているのです。土手を下りて、一束摘み取ってみました。スーパーで見かけるそれとは違い、春の力をたくわえたクレソンの葉はみずみずしく、その香りに辛みすら感じるほどです。

川岸に柔らかい風が立って、ふと遠くを見ると、地域のシンボル・鞍岳(1118m)をとらえました。阿蘇外輪山の中で最も標高が高い鞍岳は、雄岳と雌岳という2つの頂上が並ぶ様子が、馬の鞍のように見えることから、その名がつきました。

周囲をぐるりと桜並木が取り囲む「湯舟の堤」。近くの森には黄色みを帯びた光を放つ、珍しいヒメボタルの生息地も

この山を眺める絶景スポットがあります。釣りのスポットやヒメボタルの住む森としても知られる、「湯舟の堤(ゆぶねのつつみ、別名・湯舟溜池)」です。

おだやかな水面に、鞍岳の峰と青空が見事に映り込みます。あたりの空気は澄んで、どこかで山鳥の鳴く声が水面にはね返るように響きます。

湯舟の堤は、人工の池です。嘉永6(1853)年から安政2(1855)年にかけて、大津手永の総庄屋・山隈権兵衛が工事に当たりましたが、当時は難度を極めた大がかりなものだったそうです。近代に入り、数度の改修工事が行われ、先人の苦労が礎となった堤は、160年経った今も地域の田畑を潤しています。

毎年、桜の季節ともなると、堤の周りはたおやかな春霞のような淡い桃色に染まるそうです。