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(3)〝お宝の甕〟で復活した幻の焼酎 アオサ網が並ぶ海を見下ろす展望台

青い海原に突き出した「立の鼻」

(3)〝お宝の甕〟で復活した幻の焼酎 アオサ網が並ぶ海を見下ろす展望台

2015年3月7日
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伝統の手法で作業が行われる麹室(こうじむろ)=天草酒造

新和町で四代にわたって焼酎造りに情熱を傾けてきた蔵元の主がいます。天草でただ一軒の酒造蔵で、米・麦・芋焼酎製造の「天草酒造」社長の平下豊さん(37)です。明治32年に曽祖父がこの地で芋焼酎造りを始めました。

「米焼酎が主流の熊本で、なぜ初代は芋焼酎作りを?」とうかがうと、創業時、対岸の長島(鹿児島県)から原料の芋を船で大量に運べたからという答えに納得。初代が長島から招いた杜氏(とうじ)と生み出したブランドが「池の露」でした。実はこのブランド、平下さんが家業に関わるころには完全に途絶えていたのです。

「小さな蔵でも東京で勝負できる一本を」と試行錯誤していた平下さんの脳裏に浮かんだのが、この「池の露」の復活。 さっそくとりかかったものの、あまりにもブランクがあったため当時のラベルデザインも分からない状態でした。「蔵じゅう探したら、表面にうっすらとそれらしい絵が残った甕(かめ)が見つかって。二代目の祖父に確認したら、『この絵に間違いなか!』と。それを聞いた時はうれしかったですねぇ」と平下さん。

そこに描かれていたのは、青い八代海。対岸の獅子島(鹿児島県)と海岸の松の木の間に真っ赤な太陽が昇り鶴が舞う図柄は、今の時代に見ると逆にポップで新しい感じです。

復活をさらに後押したのは、「いつかまた『池の露』を」との思いから、平下さんの父親が大切に保存していた仕込み専用の甕でした。現在では高価な貴重品になったその甕が整然と並ぶ蔵は、まさに平下さんの夢の城。昔ながらの麹室(こうじむろ)も備え、「『池の露』の仕込みにかける100日は外出もしません」という手のかけようです。蔵の前では自社で麹用の米まで栽培しています。

「創業時のラベル絵のモチーフは、ひいじいちゃんが大好きだったここの海辺の景色なんですよ」と話す平下さん。今もそれと寸分違わぬ波打ち際の光景をバックに、息子の太一くん(10)と写真に収まってくれました。

仕込み甕がずらりと並ぶ「池の露」専用の蔵=天草酒造

芋焼酎「池の露」(1.8ℓ 2726円) =天草酒造

左から主力商品の「麦 天草」(1.8ℓ 205 0円)と「天草25度」(同 1812円)。米焼酎の「天草25度」はすっきりとまろやかな味わいです=天草酒造

「将来は五代目に!」と期待を寄せる息子の太一くん(小4)と並ぶ平下さん。「天草の魅力を伝えられる酒造りをしていきたい」とビジョンを語ります

問い合わせ

天草酒造

 

まさにここは宝の海です

蔵にほど近い海岸線では、アオサ栽培を手がける荒木緑さん(64)に出会いました。「9月から10月にかけて網を仕掛けると、自然とアオサのタネがつくんですよ」と聞いてびっくり。まさにここは宝の海です。「新和の海は波が穏やかだから、柔らかいアオサができるんです」と荒木さん。4月末までは収穫に忙しい日々が続きます。

波打ち際に張られた網一面に育ったアオサ。目にしみるような鮮やかな緑が新和町に春の到来を告げます

アオサ網への目配りに余念がない荒木緑さん

摘みたてのアオサ。地元では吸い物の具にするのが定番とか


展望台からの眺めは絶景です

この海を見下ろす竜洞山には、キャンプなどが楽しめる「竜洞山みどりの村」があります。自然体験やコンサートなど新和町の魅力を発信するイベントもいろいろ。展望台からの眺めは絶景です。

「竜洞山みどりの村」の展望台からは眼下にきらめく海が望めます

青い海原に突き出した「立の鼻」は、八大龍王をまつる鳥居もあり、休憩にも絶好のスポット

天草市新和支所のまちづくり係職員で地元の魅力発掘をサポートする竹内友教さん(40)

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竜洞山みどりの村