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(1)歴史上の美女が新和町に!? カモメ飛び交うのどかな港

楊貴妃に扮した松本五月さん

(1)歴史上の美女が新和町に!? カモメ飛び交うのどかな港

2015年3月7日
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周囲の山々の濃い緑と海の青が美しい大多尾漁港

カモメが舞い、さざ波が寄せる朝の「大多尾(おおたお)漁港」(天草市新和町)。陽光を受けた漁船の一群の真っ白な船体が、群青色の海から浮き立つように輝きます。

沖合には、空と海の境目で雲に溶け込む小さな島影。人影のない港沿いの道をそぞろ歩いていると、一匹の猫が目の前を横切り、路地の奥へゆっくりと去っていきます。春の港にはのんびりとした時間が流れていました。

大多尾漁港から南西方向に離れた宮地浦付近には、不思議な伝承が残っています。中国の歴史上最高の美女といわれた楊貴妃が、戦火を逃れて渡って来たという「しんわ楊貴妃伝説」です。

「新和町の宮地浦に『楊貴妃』と書いて地元で〝よきち〟と呼んでいた小字(こあざ)名があり、興味を覚えて30年ほど前に調べてみたんですよ」と話すのは、同町旧役場OBの平田豊さん(71)。

地区の言い伝えをまとめたところ、次のような伝説が浮かび上がりました。

―大陸から国の戦乱を逃れて〝立(たて)の鼻〟(新和町南東部)に流れ着いた楊貴妃と名乗る美女が、皇帝の迎えを信じて宮地浦あたりの立派な屋敷で暮らしていた。そしてある日、竜洞山山頂から雷とともに舞い上がった竜が空のかなたに消え去った後、楊貴妃と名乗る美女も消えていた。―

中国大陸とは東シナ海を挟んで向き合う天草だけに、こんなロマンチックな伝説もなんだか信じてしまいそうです。

毎年11月には、伝説にちなんだ「しんわ楊貴妃祭り」も開かれるようになりました。天草市新和支所職員の松本五月さん(32)も、楊貴妃伝承に親しんで育った一人。「青年会の催しで楊貴妃に扮したことは楽しい思い出です」と話してくれました。

「竜洞山みどりの村」の散策路には「楊貴妃像」が建立されています

「楊貴妃」伝説にまつわる伝承を調べた平田豊さん。伝説が残る宮地浦地区の生まれです

「『楊貴妃の里』にぜひ遊びに来てください」と松本五月さん

7年ほど前、イベントで楊貴妃に扮した松本五月さん=写真提供も松本さん