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(3)漱石が滞在した前田家別邸 小説「草枕」の世界にひたる

(3)漱石が滞在した前田家別邸 小説「草枕」の世界にひたる

2014年12月20日
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今から約120年前に小天(おあま)の旅を満喫したのが明治の文豪・夏目漱石。2016年は夏目漱石の没後100年。翌年の2017年は生誕150年で、小天温泉に滞在して120周年になります。「草枕交流館」では、節目の年にちなんでさまざまな催しを計画中です。

「熊本には漱石の足跡が多く残っています。小天もその一つで、漱石が描いた小説の世界をのぞいてほしいですね」とスタッフの吉川由美さん(54)。

館内に展示される漱石にまつわる資料を見た後は、歩いて小説「草枕」の舞台となった「前田家別邸」へ。漱石が滞在した離れや、半地下に造られた浴場が残っています。しばらく小説の世界へ思いをはせて、漱石が訪れた冬の小天の空気を楽しむことにしました。

夏目漱石が滞在した「前田家別邸」に残る離れ。宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」の主人公宅のモデルともいわれています

「漱石が歩いた熊本・小天間の草枕の道の案内も行っています」とスタッフの吉川由美さん

漱石の資料を展示する「草枕交流館」。12月末までは「宮崎龍介と白蓮展~『花子とアン』より」を開催中

問い合わせ

草枕交流館

 

伝統のある宿をしっかり守って行きたい

前田家別邸の近くには、明治元年創業の温泉宿「那古井館」があります。風情ある玄関で迎えてくれたのは、女将の前田聖華さん(50)と次男で跡継ぎの聡(そう)さん(20)です。

苗字の前田からして「草枕」の那美さんのモデルになった前田卓子さんの子孫かと思いきや「卓子さんの前田家とは遠縁で、直系ではないんです。でもお客さまにはよく尋ねられます」と聖華さんが教えてくれました。

館内のお食事処「旬美庭(しゅんびてい)」では、老舗宿の味を気軽に楽しめると人気です。接客をしてくれたのは、宿の主になるべく修業中の聡さん。イケメンの接客にホホもゆるんできます。「宿の大変さを身を持って体験しています。伝統のある宿をしっかり守って行きたい」と頼もしい応えが返ってきました。

宿泊しなくても利用できる「那古井館」内のお食事処「旬美庭」。気軽に味わえるランチでは、熊本の食材を生かした月替わりの料理が並びます。お昼のミニ会席(入浴料サービスで2000円)

満面の笑顔で迎えてくれた「那古井館」の女将・前田聖華さんと息子の聡さん

しっとりとした風情の和風旅館「那古井館」。エントランスから続く庭を歩くのもおすすめ

「那古井館」の温泉で、「温泉や水なめらかに去年の垢」と漱石が詠んだ小天温泉の湯を満喫。日帰り入浴可能(時間はお問い合わせを。入浴料500円)

問い合わせ

那古井館

 

子供の頃からの夢をかなえようと

同じ町で働く20代の女性も負けていません。「森山工務店」に勤務する川西沙知さん(25)は大工見習いになって2年。ガテン系の仕事をしているとは思えないスラリとしたスタイルと、スッピンの笑顔が印象的です。

「小さい頃からものづくりに興味があって。電機メーカーで製造の仕事をしていたのですが、子供の頃からの夢をかなえようと、地元に帰ってきました」。

今は棟梁の元で一つひとつの技術を覚えている段階ですが、いつか自分の家を一人で建てるのが夢だそうです。

「森山工務店に面接に行ったら、社長が即 OK を出してくれて」とにこやかに話す川西さん

柱を補強する筋交いを取り付ける川西沙知さん