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(3)今年〝還暦〟の菊池温泉 師弟が育てる〝まつり〟の菊

“健康野菜”として注目されるヤーコン

(3)今年〝還暦〟の菊池温泉 師弟が育てる〝まつり〟の菊

2014年11月1日
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昭和30年代ごろ、大浴場の湯船でくつろぐ温泉客(写真提供=城乃井旅館)

熊本を代表する名湯の一つの菊池温泉。今年はその湧出から60年という、いわば温泉の還暦にあたる節目の年です。

「菊池にも温泉を」という民間有志の熱意のもと進められた掘削作業が完了したのは、昭和29年の10月でした。当時の写真を見ると、ボーリング作業を行う櫓の上に集った関係者が、その上で胸を張る誇らしげな姿が印象的です。

掘削作業を行った櫓の上で、晴れやかな表情を浮かべる関係者(写真提供=城乃井旅館)

お得な「入湯絵馬」(入湯券2枚付き、1000円)や菊池温泉水入りの化粧水「菊のしずく」(13 00円)、「さくら薫るせっけん」(800円)など人気の温泉グッズ(「菊池夢美術館」などで販売)

菊池温泉を支えるおかみ会のメンバー。左から廣瀬美穂さん(39)、城佐和子さん(50)、山田千洋子(ちよこ)さん(63)、川津悦子さん(55)、小佐井美保さん(44)、森山早苗さん(55)

「日本の名湯百選」にも選ばれた菊池温泉は、アルカリ性の軟らかな泉質。〝化粧の湯〟とうたわれ、特に美肌を願う女性に愛されてきました。

「よく、お客さんに『湯上りの肌(の質感)がトロトロで、まるで石けんの滑らかさが残っているみたい』と言われるんですよ」と話すのは、地元温泉の女将7人から成る「きくち温泉おかみ湯恵(ゆめ)の会」のみなさん。女将歴3年から40年までの大ベテランまでが、抜群のチームワークで温泉と町の盛り上げに尽力しています。

菊池では“健康野菜”として注目されるヤーコンの栽培も盛んで加工品もいろいろ。「ヤーコン黒酢」1300円など= 「きくち観光物産館」

シイタケも菊池の特産品。右は「全国でも菊池の農家5軒だけが栽培する希少品」と同館がすすめる「幻の椎茸204黒香(くろか)」(65g1100円)= 「きくち観光物産館」

菊池といえば栗製品。手作り栗団子(350円)、「栗どら」(190円)、「焼きドーナツ」(140円)。品ぞろえは時季により変動= 「きくち観光物産館」

問い合わせ

きくち観光物産館

 

伝統ある祭を若い力が支えている

秋の菊池を盛り上げるのは、きのう10月31日に菊池市民広場で開幕した「菊人形・菊まつり」(15日まで)。伝統ある祭を若い力が支えていると聞きました。県立菊池農業高校の生徒たちが菊人形に使う菊を育てているとのことで、同校を訪ねてみました。園芸科の徳永郁教諭(24)の指導で栽培にあたるのは、生活文化科3年の林祐菜さん(18)、畜産科学科3年の藤井宏成さん(18)、園芸科3年の東勝道(まさみち)さん(18)の3人の生徒。

温室での作業は6月ごろから始まり、酷暑の間も形を整えるための地道な剪定作業が続きます。取材当日はまだ開花していませんでしたが、「祭りが近くなると、肩と前垂れのあたりは赤い菊、そのほかの部分は黄色い菊がきれいに咲きそろいますよ」と教えてくれました。

「菊人形・菊まつり」で展示される菊人形(資料写真)

昨年、創立110年を迎えた伝統ある県立菊池農業高校

取材場所に居合わせた菊池農高園芸科の生徒たち。元気なポーズが頼もしい!


菊池渓谷の紅葉

菊池の秋といえば、菊池渓谷の紅葉です。それを訪ねる道すがら、石工・橋本勘五郎=文政5(1822)年〜明治30(1897)年=が手掛けた「永山橋」に立ち寄りました。橋の向こう岸に続く杉木立の中に消える細い道。そこを、かつてはわらじ履きの旅人たちが足しげく往来していたのでしょうか。今はたもとにただ一軒残る民家が、石橋のある光景に静かに寄り添っていました。

菊池渓谷を錦の絵巻に変える紅葉(資料写真、提供=菊池市)

石工・橋本勘五郎の手による「永山橋」。欄干の擬宝珠などのハイカラなデザインには、勘五郎が明治初頭に東京で体験した橋作りの影響がうかがえます

温室で栽培中の菊人形を前にした、林さんと藤井さん。真ん中に立つ徳永教諭は、頼れる兄貴のような存在