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(2)菊池氏の雅な置き土産を ゆかしい通りや和菓子に訪ねて

菊池家第15代当主「菊池武光公像」

(2)菊池氏の雅な置き土産を ゆかしい通りや和菓子に訪ねて

2014年11月1日
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築地地区から下流へと井手を下っていくと、市街地に入る付近で一軒の菓子店が目に止まりました。〝日本一薄い菓子〟のキャッチフレーズで知られる「松風」を製造する「松風本家・正観寺丸宝(まるほう)」です。菊池氏が京の都で出合った菓子をしのび作らせたものが約400年以上もの時を超えて伝承され、菊池を代表する菓子になりました。

「持ち込まれた当時の松風はもっと厚手だったようですが、歳月とともに今日の薄さになったんですよ」と店主の野口征治郎さん(71)。その薄くほろりと崩れるはかない口どけに、繊細な味覚を育てた菊池の人々の風雅な心を見た気がします。

焼きたての松風を素早く正確に切り分けるのは、熟練した職人の技

昭和30年代に全国を実演して回り、「松風」のファンを広げた野口さん

「松風本家・正観寺丸宝」店頭の大太鼓。「太鼓を叩いてスキッとした気分になったところで、お買い物をどうぞ(笑)」と店主・野口さん

「松風」専門店の「松風本家・正観寺丸宝」。このほか、菊池市内では数軒の店がそれぞれに味わいある「松風」を製造しています

問い合わせ

松風本家・正観寺丸宝

 

秋の日に輝く傍の樹木の黄葉が静かに映えて

菓子の甘い余韻が残るなか、やはり中世の面影を伝える「御所通り」を散策しました。菊池神社参道から西へ延びるこの通りは、菊池氏が都を模して格子状に整備した街路の一つ。

道沿いの県立菊池高校そばにそびえる大木は、南北朝時代、九州に下った征西将軍・懐良(かねなが)親王のお手植えと伝わる椋(ムク)の木です。「将軍木」と呼ばれるその木を親王に見立て、御前で能を舞う趣向で例年秋に行われる「御松囃子御能」は650年もの間変わらず伝えられ、国の重要無形民俗文化財になっています。将軍木と向かい合うように建つ能舞台の黒々とした甍(いらか)には、秋の日に輝く傍の樹木の黄葉が静かに映えていました。

菊池市民広場に建つ菊池家第15代当主「菊池武光公像」

「御所通り」沿いの民家の墨色の格子に、古の面影が漂います

沿道からの落葉が秋の色を添える菊池神社の参道

「御所通り」沿いにある「菊池松囃子能場」 =資料写真(菊池市教育委員会提供)