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(1)水の神が見守る井手 ほとりに広がる憩いの暮らし

「築地井手」取水口近くの菊池川

(1)水の神が見守る井手 ほとりに広がる憩いの暮らし

2014年11月1日
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築地地区の車道沿いを流れる「築地井手」。澄んだ水の流れは、水底でなびく水草が見えるほどです

静かな田や竹林に溶け込むように25戸の家々が並ぶ築地(ついじ)地区(菊池市亘)。ここは、江戸時代初頭に菊池川から引かれた水路「築地(ついじ)井手」の恵み豊かな里です。

築地井手は菊池川水系最古の井手として知られ、菊池平野の田を潤し、名高い菊池米を育んできました。

「子どもんころは、ここで泳いだり魚とったり。そら~楽しかったですたい」と話すのは、築地井手管理委員会の役員も務める辻憲治さん(67)。案内された地区の公民館横の水路には、その幅いっぱいに驚くほど澄んだ水をたたえた井手が、菊池市街地の方向へさらさらと流れています。

築地地区内の水辺にある白い椅子は、夏の特等席。「暑い時季には、菊池の街中からここにお弁当持って涼みにみえる人もいますよ」と辻さん

築地井手管理委員会役員を務める辻憲治さん


菊池川の取水口の大きな石には、石を割り出す際についたと思われる豪快なのみの跡が残っています

築地地区を通って流れ下る井手は隈府(市街地)へ向かいます。「菊池グランドホテル」近くには井手の名を刻んだ石碑があります

井手を見守るように静かに

水に映る秋空の青さに誘われて目を上げれば、水際に立つ桜の古木と、そのグレーの枝々を透かして対岸に立つ小さな薬師堂が目に入ります。春の盛りには、お堂を彩るように咲いて散った薄桃色の花びらが、青い水面(みなも)を花の筏(いかだ)のように連なって流れ下っていくことでしょう。

お堂の少し下流にある小さな橋の向こう岸には、水の守り神「水分神(みくまりのかみ)」の石碑や、工事を手掛けたと伝わる加藤清正の像が、井手を見守るように静かに立っていました。

切り立った崖や転がる巨石など、大河らしい眺めを見せる「築地井手」取水口近くの菊池川

築地井手の取水口を目指し、菊池川へとさかのぼりました。分岐点では、堰(せき)の働きをしている古びた石門を通じて、菊池川から井手の方へごうごうと水が流れ出しています。

「この石門を、自分たちは昔から〝まき塘(ども)〟と呼んどります」と辻さん。「ここを通って菊池川から落ちてくるアユが、うまかとですよ~」

つい最近も総出で行った簗(やな)掃除で32匹があがり、みんなで舌鼓を打ったそうです。そんな作業を通じた結束力も築地地区の自慢です。「まとまりが良かとは、月に1回必ず開いとる〝男子会〟のおかげでしょうなぁ。下は30代から男ばかり十数人集まって…。ワイワイ楽しかですよ!(笑)」。

水分神(みくまりのかみ)」の石碑。地元の人に大切に守られています

築地井手を見守るように建つ加藤清正像