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(1)町衆の粋、豪気受け継ぐ 繊細できらびやかな笠鉾

「妙見祭」は地元で“妙見さん”として親しまれる「八代神社」の秋の大祭。

(1)町衆の粋、豪気受け継ぐ 繊細できらびやかな笠鉾

2014年10月18日
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砥崎河原で披露されるガメの演武=昨年の妙見祭

虫の音色が響く朝。朝日を浴びたうろこ雲がキラキラと輝いています。すっかり秋めいてきました。

少しずつ冷たくなった風に誘われながら、温かい出会いを求めて八代市を訪ねました。

八代市は江戸時代、細川家や松井家のもとで栄えた城下町です。華やかな町人文化の名残を感じさせてくれるのが、11月23日に開催される九州三大祭りの一つ「八代妙見祭」。約380年の歴史を誇り、平成23年には、国の重要無形民俗文化財に指定されています。

祭りの見どころは、旧八代城下の町ごとに奉納される、きらびやかな9基の笠鉾(かさほこ)やチャルメラ、ドラの響きが異国情緒を感じさせる獅子舞。そして、迫力のある顔で動きはユーモラスな通称・ガメ(亀蛇=きだ)。人を驚かせようと豪華さや新奇さを競った町衆の、風流(ふりゅう)の精神あふれる39の出し物です。

クライマックスは、砥崎(とさき)河原で行われる演舞。水しぶきをあげ、河原中を駆け回る神馬(しんめ)は、迫力満点です。

八代妙見祭保存振興会会長の濵大八郎さん(70)にお話をうかがいました。「200年以上も前の絵巻を参考に、すべてを忠実に再現しました。静と動のコントラストもすばらしかっです。裏方の私たちも、当日は祭りの正装をして臨みます」と濵さん。祭り全体に品格が漂うのは、こうした真摯な姿勢があればこそだと感じました。

笠鉾とは、1本柱の笠のまわりに、200もの部材を吊るしたもの。先頭を行く宮之町の「菊慈童(きくじどう)」は、ほかの町より由来が古く、どんなに悪天候でも最後まで行列に出なければなりません=資料写真

八代妙見祭保存振興会会長の濵大八郎さん

復活した神幸行列の流鏑馬(やぶさめ)=昨年の妙見祭

「妙見祭」は地元で“妙見さん”として親しまれる「八代神社」の秋の大祭。ちなみに本殿は現在大改修工事中で、2015年秋の完成予定です

【八代妙見祭】概要

11月22日、「お下り行列」。見どころは、23日の「お上り行列」。早朝、塩屋八旛宮を出発、八代神社まで約6キロを練る時代絵巻。獅子、花奴(はなやっこ)、みこし、笠鉾など総勢1600人、行列の長さは1・5キロにも。砥崎河原でのガメの演舞、勇壮な馬追いでクライマックス迎える。JR八代駅前、砥崎河原には有料の観覧・桟敷席(八代駅前はイス席、砥崎河原は升席)も設けられる。
問/八代商工会議所 TEL.0965-32-6191

京都で発見された、妙見祭の様子を描いた時代絵巻(八代神社所蔵)。市民の寄付金等で買い戻された絵巻は、現在、八代の博物館に寄託されています=資料写真※抜粋掲載

妙見祭を50年先、100年先へ受け継ぐための取り組み

妙見祭を50年先、100年先へ受け継ぐための取り組みも盛んです。「八代農業高校」(同市鏡町)の福祉家庭科は、「八代木馬保存会」からの要請で、3年生7名が「木馬(きんま)」の衣装製作に挑戦しています。

「地域貢献の意味もありますが、木馬の衣装は生地もつくりも特殊なので、生徒たちも貴重な経験になりそうです」と、指導に当たる尾﨑美子教諭(56)。真剣な表情で縫製作業をする生徒たちの姿に、ここから新たな担い手が出るのではと、うれしい予感がします。

「妙見祭」は「ユネスコ無形文化遺産」登録の気運も見られます。「京都祇園祭の山鉾行事」など全国32の祭礼行事とともに、「ユネスコ無形文化遺産」への一括登録の候補となっているのです。登録が決定すれば、県内初の快挙。昨年、同遺産に登録された「和食 日本人の伝統的な食文化」が世界的に注目されているだけに、期待も高まります。

木馬の衣装製作に取り組む、八代農業高校の生徒たち。左から尾﨑美子教諭、林田結香さん(18)、𠮷村沙羅さん(17) 、松岡沙利菜さん(17)、森本早紀さん(17)、松永朱加さん(17)、𠮷村智杏稀さん(17)、内川雛乃さん(17)

妙見祭を見たことのない生徒たちも「今年はこの衣装を見にいきたい!」と楽しみにしていました