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(4)営業マンから農家へ転身 手作り焼酎追求の四代目

仕込みの前で蔵の中は静けさ

(4)営業マンから農家へ転身 手作り焼酎追求の四代目

2014年10月4日
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「多良木のびる」では球磨焼酎用の米も栽培。10月中旬頃からは新米の販売もはじまります

コメどころ、焼酎どころで名高い多良木町で、次世代に伝統をつなげたいと奮闘する人たちに出会いました。

尾方伸一郎さん(33)は6年前に農事組合法人「多良木のびる」に入社し農業に従事しています。それまでは熊本市で営業マンをしていました。

「自分が育った土地で、地域に根ざした仕事がしたいと思って多良木に帰ってきたんです」という尾方さんは、最初は農業をしようとは考えていなかったそうです。

“地域に根ざした仕事”を探しているうちに、12戸の農家が共同で集落の農地を守る「のびる」の求人を見つけました。

「実家も農家ではないので、はじめての農作業は農家のみなさんに付いていくのが精一杯。でも、農地を守るだけでなく、農業のノウハウを次の世代につなげるために、自分たちが始めないと」と尾方さん。農家の主婦らとホームページを立ち上げ、ネット通販も手がけています。

「今年は鹿児島県から20代の夫婦が入社したんですよ」と、グループの輪が広がりつつあることを、日に焼けた顔をほころばせながら話してくれました。

コメだけでなく、夏秋キュウリやトマトなどの野菜も栽培。HPでは雑穀や落花生、なたね油などの通販も http://www.taragi-nobiru.com/

「野草の“のびる”と、成長する“伸びる”をかけて名付けた社名です」と「多良木のびる」の尾方伸一郎さん

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手作業による酒造りの伝統を受け継ぐ強い意志

そしてもう一人。「昔ながらの道具を使い、全て手作業で仕込むのが初代からのこだわりです」と話すのは、大正6年から続く「那須酒造場」の4代目・那須雄介さん(35)。父親の富雄さん(63)、母親の明美さん(66)の家族3人で、焼酎造りの全ての作業を行っています。

そのかいあって、昨年の全国酒類コンクールでは、春期は全焼酎部門で、秋期は米焼酎部門で同社の「球磨の泉」が一位に選ばれました。

酒造場の麹室には小さな木箱がいくつも重ねられ、地中には仕込み用の甕壺(かめつぼ)が埋まっています。

「うちにある機械は、甕壺からタンクに移し替える時に使うポンプだけ」という言葉に、手作業による酒造りの伝統を受け継ぐ強い意志を感じます。

取材時は、仕込みの前で蔵の中は静けさが漂っていましたが、米の収穫時期からは、米の見極めや洗米など慌ただしさが戻ってきます

3年以上貯蔵することで、味と香りが深みを増す常圧蒸留の「球磨の泉」。1升2200円(右)、4合1270円。品切れの場合も多いので、お問い合わせを

酒造場の神棚に祀られる氏神さま。素朴なお姿ですが、おいしい焼酎造りにはご利益がありそうです

「焼酎造りには気配り、目配りが大切です」と語る那須さん一家。右から那須雄介さん、父・富雄さん、母・明美さん

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那須酒造場