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(2)和菓子職人は油絵も得意 思い出の味のハンバーガー

思い出の味のハンバーガー

(2)和菓子職人は油絵も得意 思い出の味のハンバーガー

2014年8月2日
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かつては映画館や劇場、郵便局や呉服店などが立ち並ぶ繁華街だったそう

いつもと違う道を行けば、さまざまな出会いが待っています。1966(昭和41)年に天草五橋が開通する前は、天草諸島きっての繁華街としてにぎわった登立商店街。旧道沿いを歩いていると、「天草どら焼」と書かれた黄色い看板を見つけました。

「菓舗 木村屋」に入ったとたん、目に飛び込んできたのが、フェルメール(17世紀、オランダの画家)を思わせる繊細な肖像画でした。絵画展でも行われているのかと思えば、「全部、息子が趣味で描いたっですよ」と木村真理子さん(72)。和菓子店の3代目でもある木村光利さん(47)は30代の頃から独学で油絵を描き始め、県美展で何度も入選を果たした実力の持ち主なのです。

「銀座の画廊の公募展で最終まで残ったこともありましたが、父が亡くなってからはどら焼きを作るだけで精一杯。なかなか描く時間をとれんとですよ」と光利さん。

そんな光利さんが作るどら焼きは、たっぷりの粒あんが特徴です。「天日干しの小豆で作られたあんに近づけるため、原材料や産地、選別、煮方などすべてを見直して試行錯誤すること10年。ようやく、納得のいくものができました」。

一口頬ばれば、その優しい甘さと小豆の確かな食感が、軟らかい皮とあいまって口の中に溶けていきます。

絵画がずらりと並ぶ木村屋の店内。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」にインスピレーションを得て描いたものなども。まさに、天草のフェルメールです

「休憩時間になると、郵便局の人たちがどら焼きの食べ比べに来よらしたっですよ」と、楽しげに振り返る木村真理子さん(左)と木村光利さん(右)



問い合わせ

菓舗木村屋

 

楽しい子ども時代を過ごしたぬくもりが残る店

昭和の風情が漂う店舗の「ミスターバーガー」は、山口洋子さん(63)が33年前に開業しました。ふわっと軟らかい手作りのハンバーグに、シャキシャキのレタスをのせたハンバーガーはなんと200円! 週末は、地元の子どもたちでにぎわいます。

「みんなお小遣いで買いにくるけん、値段もなかなかあげきらんとですよ」と山口さんは笑います。「おばちゃん、てりやき」と、カウンターに座るやいなや注文をする倉田翔さん(18)も、小学生のころから通う常連です。

「ここの味にほっとすっとです。町から外に出た友だちが帰ってきたら必ず、『ミスバ行こう!』ってなります」と倉田さん。どうやらここは、楽しい子ども時代を過ごしたぬくもりが残る店のようです。

単品のほかにセットも。ちなみにAセットはハンバーガーにポテトとドリンクがついて390円

数十年前まで宇土にあったお店で修業し、屋号を受け継ぐ形で「ミスターバーガー」をオープン。外には、夫の両親が営んでいたたばこ店の名残も

「『ここなら自分たちも知っとるし、子どもだけでも安心して食べにやれる』って言ってくれる親御さんも多くて。うれしかですね」と山口さん

照れながら取材に応じてくれた倉田翔さん(左)。カウンターや売り場越しに交わす常連客とのやりとりを聞いていると、この店が長年、子どもたちのよりどころであるのがわかります=「ミスターバーガー」

問い合わせ

ミスターバーガー