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(2)異国情緒漂う明治の洋館 天草出身の棟梁が腕振るう

(2)異国情緒漂う明治の洋館 天草出身の棟梁が腕振るう

2014年6月7日
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旧宇土郡役所。現在は「JEIS西日本九州海技学院」。見学する際は事務局の許可が必要

三角岳(標高406m)を背にたたずむ「JEIS西日本九州海技学院」は、船舶免許教習所ですが、明治のころは、宇土郡役所の庁舎でした。

床に含んだ油の匂い、ひんやりと伝わる漆喰(しっくい)の温度、高さのある窓、床に響く靴音。まるで、当時の時間がそのまま流れているような空間がそこにあります。

洋風でしゃれたデザインは、長崎のグラバー邸をほうふつとさせますが、それには、理由があります。建物を手掛けたのは、天草出身の小山秀という大工の棟梁でした。

実はムルドルは志半ばで、この町を去っています。そんな彼の意思を受け継いだのが、小山でした。

小山はイギリス人貿易商のトーマス・グラバーと親交があり、グラバー邸をはじめとする、長崎の代表的な西洋館を手掛けました。

埠頭の石積みや水路など、小山の元で、延べ13万人もの石工たちが働いたそうです。

町内を囲むように巡らされている水路の欄干は、かまぼこ形です。こうした形にするのは、当時としては困難な作業だったにもかかわらず、こんなところにも、ムルドルの思いを受け継いだ小山の気概がうかがえます。

「法の館(旧三角簡易裁判所)」。「JEIS西日本九州海技学院」と同じ高台にあり見学可能(無料)

「JEIS西日本九州海技学院」の一室は、当時のままの姿が残されています


町を囲むように造られている水路

「法の館」へと続く階段。ここから眺める三角町の風景もまた風情があります


 

 

アトリエを構え移り住んだアーティスト

かつての三角港の一角には、料亭や遊郭もありました。小さな町なのに東西の二つの検番(芸者さんたちのプロダクション)があったというから、たいそうにぎわった花柳界だったのでしょう。

その遊郭跡の家にアトリエを構え移り住んだアーティストが安井建二さん(65)です。

安井さんを三角町に引きつけたものは、アコウの木。三角町や天草ではよく見かける亜熱帯性の樹木です。数本の根が枝になり、クネクネとまきつけるように伸び大木をつくる様は、人の体のようであり、動物のようであり、不思議な形をしています。

「描かずにいられなくてね。毎日、アコウの木をスケッチをしていると、時間によって色が変化するんです」と安井さん。

屏風に描かれたアコウの木は、妖艶でなまめかしくも、しなやかな強さを感じました。

安井さんが屏風に描いたアコウの木

海藻の筆で書をしたためる安井さん。「海藻を筆にするというアイデアもこの町に出合ったから」と安井さん

三角町の魅力に引かれ移り住んだアーティストの安井建二さん。安井さんが魅了されたアコウの木の前で


プレゼント

安井建二さんが「福」としたためた書を抽選で1名様にプレゼント。ハガキに住所、氏名、年齢、性別を明記の上、下記あて先まで。締切は、6月26日(木)。

※ハガキのみの応募に限らせていただきます。

〒860-8506 熊本市中央区世安町172

あれんじ編集室「書プレゼント」係