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(4)先駆的な存在の下村婦人会、漬物作りから地域貢献まで

(4)先駆的な存在の下村婦人会、漬物作りから地域貢献まで

2014年4月5日
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トレンド先取りの割烹着がトレードマークという「下村婦人会市房漬加工組合」のみなさん。「生涯現役!」が合い言葉だとか。写真左から髙木スマ子さん(62)、笹田真奈美さん(43)、桑原やよいさん(32)、星原陽子さん(66)、馬本美佐子さん(66)、河崎高代さん(55)、福屋真貴子さん(61)

イチオシは、市房漬を刻んだ「きりしぐれ」と、鼻にツンと抜ける「なすの辛子漬け」各350円(税別)。お茶もご飯も球磨焼酎も、何にでも合いそうです

取材した時は、みそ漬やさまざまな漬物の味付けに使うしょうがの下ごしらえ中。一つひとつ丁寧に処理するのがおいしさの秘けつだとか

今でこそ地域の婦人会の活動は盛んですが、熊本で先駆け的な存在なのが「下村婦人会市房漬加工組合」です。

戦後まもなく、女性たちの手で現金収入を得るために活動をスタートした同組合。昔ながらのみそ漬けの「市房漬」や「なすの辛子漬」「たかな炒煮」など、材料を持ち寄り、添加物や保存料を使わない漬物作りを続けています。

今年から、地域の子どもたちにおやつを提供する「くまモンおやつプロジェクト」にも取り組んでいます。「蒸しパンやお焼き、スコッチエッグなど、お漬け物を使ったお菓子やおかずのレシピも作っているんですよ」と話してくれたのは代表の星原陽子さん(66)。

創始者で長年リーダーとして引っ張ってきた山北幸さんは昨年、亡くなられましたが、手間暇かけたおふくろの味は、後継者の方々にしっかりと受け継がれています。

市房漬はご飯はもちろん、球磨焼酎のアテにもぴったり。

看板の「市房漬」400円や「しょうがの味噌漬」500円、「柚の香漬」350円など、添加物や防腐剤など使わない漬物。直売のほか、「湯~とぴあ」などの物産館でも販売しています(価格は全て税別)

 

香りのよさと、米のうま味が凝縮した味わいの焼酎

そこで訪ねたのが、湯前の米、水、そして作り手にこだわる球磨焼酎の蔵元「豊永酒造」です。

石造りの蔵の中では、仕込みの真っ最中。地下に埋められたタンクの中でブクブクと発酵が進むモロミを、杜氏の中村誠さん(48)が櫂(かい)棒で力強くかき混ぜています。近づくと、なんとも言えない甘くフルーティーな香り。

仕込みから約10日~2週間後に蒸留し、米のうま味をしっかり感じる球磨焼酎に仕上がります。

「明治27年(1984)の創業当時から、自社の田んぼで作った米で仕込むのがうちの伝統です」と4代目当主の豊永史郎さん(56)。

5月まで製造が続き、6月からは田植えがスタート。休む間もありませんが、「コメ自体がいいものでないと、納得の行く焼酎ができない」というこだわりが、評判の一本を生み出すのです。

「香りのよさと、米のうま味が凝縮した味わいの焼酎です」と「豊永酒造」杜氏の中村誠さん(48)

写真左から、吟醸酵母を使った「華吟」1200円、常圧蒸留の「豊永蔵」1352円、減圧蒸留の「豊永蔵」1300円(いずれも720ml、 税別)。「豊永酒造」の焼酎は、直売のほか、町内の「井上酒店」で購入できます

ゆのまえ駅通り・国道219号を歩くと見えてくる明治27年創業の「豊永酒造」。

青空に突き抜けるようにそびえるレンガの煙突が目印

 

湯前の農業を再び盛り上げたい

農業や林業が主産業の湯前町に、次世代の担い手を育てる「湯前町農業公社」が一昨年、設立されました。

「耕作放棄地も増え、担い手も減少しています。その流れを食い止めることが公社の役割ですね」と、自衛隊を退官して入社したという森下一富さん(61)。

現在は6人の社員で、米や麦、甘草(かんぞう)、季節の野菜など、年間で10数品目ほど栽培しています。

「自分で考えて行動できる農業に魅力を感じました。いろんな世代と一緒に仕事ができて、普通の農家では体験できないことが多いですよ」と答えてくれた那須俊行さん(34)。

湯前の農業を再び盛り上げたい…その思いが黙々と作業を続ける姿から伝わってきます。

チューブ入りの練りワサビなどに加工される茎ワサビは5月頃に出荷。家庭で使っている練りワサビは、湯前の茎ワサビが使われているかも

写真左から森下一富さん(61)、「東京で就職しようと思ったけど断念して、地域のために役立ちたいと入社しました」と言う最年少の椎屋周生(しいや・しゅうき)さん(19)、「よくできた作物をみるとうれしいですね。農業で同僚がいるのは不思議な感じです(笑)」とは篠原守さん(24)、那須俊行さん(34)

林業が盛んな湯前町。スギの枝を挿し木して育てた苗を、林業事業体に納めるのも仕事の一つです