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(1)鎌倉時代初期の茅葺のお堂、里を見守る三体の仏様

(1)鎌倉時代初期の茅葺のお堂、里を見守る三体の仏様

2014年4月5日
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明治39年に竣工された球磨川の支流・都川にかかる下町橋。深緑の川とうっそうと茂る木々に覆われて幽玄な雰囲気ですが、夏になると子どもたちがカヌー遊びをすることもあるとか

湯前町から錦町までの球磨の田畑を潤す用水路・幸野溝。元禄9年(1696)から造り始められました(資料写真)

淡い緑のグラデーションで連なる九州山地。真ん中のとんがり山が市房山

のどかな田園を囲むように連なる九州山地。やわらかな日差しに包まれて、水彩画のような色合いを表しています。ピピピピッ、高い空から聞こえてくるひばりの声に、里山に春が訪れたことを感じます。

おだやかな里山に凜とした空気を漂わせる一角があります。重厚な茅葺(かやぶき)屋根と緻密な木組みの構造を持つ国指定重要文化財・阿弥陀堂「城泉寺(じょうせんじ)」です。

お堂は、鎌倉時代初期の建立。県内で最古、九州の中では2番目に古い木造建築と言われています。堂内には、同時期に造られた阿弥陀如来と脇侍の観音菩薩(かんのんぼさつ)、勢至菩薩(せいしぼさつ)が静かに瞑想しています。いずれも国指定重要文化財。

素朴さと凛々しさを併せ持つ「城泉寺阿弥陀堂」。建立したのは、この地方を治めていた豪族・久米氏とも相良氏とも言われています

両脇侍像とともに国の重要文化財に指定されるおだやかな表情の阿弥陀如来像。細やかな光背の彫刻も見事です

境内に立つ七重石塔と九重石塔。阿弥陀仏像が造られた翌年の寛喜2年(1230)に建立され、こちらも国の重要文化財に指定されています

「普段はお堂の戸は閉めているけど、事前に連絡をもらえれば開けます」と城泉寺管理人の柳瀬鐵男さん(72)。湯前町役場、湯前まんが美術館で受け付けています

長い歴史を経ているにもかかわらず、保存状態がよく、地域の人々によって大切にされてきたことが伝わってきます。

「最近は若い人もよう見学に来なさりますよ。青井さん(人吉市・青井阿蘇神社)が国宝に指定されたから、城泉寺の阿弥陀堂と仏様も国宝にしようという声も上がって、去年シンポジウムも開かれました」と、城泉寺のある瀬戸口地区長で、寺を管理する柳瀬鐵男(てつお)さん(72)。

町外の仏像ファンからの後押しもあり、地元の人たちの機運も高まっているとにこやかに話します。

「仏像がみなさんとの交流のきっかけを作ってくれてるようですね」と、今でも守り神として里山の人々を温かく見守っているようです。