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(2)矢旗づくりに 大忙しの染物店 昔ながらの手がき 手作業で

(2)矢旗づくりに 大忙しの染物店 昔ながらの手がき 手作業で

2014年4月19日
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町の中心部には、かまぼこ屋、お菓子屋、八百屋、電器屋など、いくつもの小売店が並んでいます。そんな、昔から変わらぬ風景に町の温もりを感じます。

印鑰(いんにゃく)神社の近くに、「平本染物工場」があります。明治30年に創業したという染物店では、店の間口からは想像できない奥に広い工場で、昔ながらの手法で染め物が作られています。ちょうど端午の節句を前に、矢旗づくりの真っ最中でした。

鏡町の昔ながらの商店街の風情を残す風景

印鑰神社の裏手にある鏡ケ池。春季大祭のときは、地元の男性が池に飛び込み手取でフナを捕まえる祭りが行われます

男の子の端午の節句を祝う矢旗。向かって右の矢旗が熊本の特徴のもの

「熊本の矢旗はバックを黒地にするのが特徴で、家紋は白。柄は加藤清正と虎が人気ですな。全て手がきの手染めですけん、1日1本しか作れんですもん」と話してくれたのは、社長の平本靖二さん(85)。

広い工場の敷地には、古い木造と新しいコンクリートの作業場が点在。時代の流れを映すその風景は、映画のセットのようです。

工場の一角では、手ぬぐい染めの作業が行われていました。蛍光灯の灯りと、窓から差し込む日差しの中で、藍の染料が神秘的な色を浮かび上がらせます。

動線を考慮した作業場の配置や道具の並べ方、そこに漂う長年の空気感から、職人さんの張りつめた真剣さが伝わってくるようです。

手ぬぐいを染めている職人さん。独特の緊張感が漂います

矢旗の手染め。1カ所ずつ丁寧に染める、根気のいる作業です

平本染物工場。店の間口からは想像できないほど、奥に広い工場が続きます

矢旗づくりの名人の平本靖二さんですが、お子さんはお嬢さんばかり。お孫さんに男の子を授かったときのうれしさといったらなかったそうです

 

不知火海へと続く鏡川沿いの風景もまた、情緒あふれる場所です。川に架かる石橋が鑑内橋(かんないきょう)。天保元年(1830)ごろに、肥後の石工・岩永三五郎が造ったとされる橋です。

西南戦争時には、日奈久に上陸し北上する官軍の兵士と、南下する薩摩軍の兵士がこの橋で出会い、その情報を受けた薩摩軍が氷川に陣を構えて戦ったそうです。

近くに「江上鮮魚店」があります。店先には、八代海で捕れた新鮮な魚介類が売られており、その懐かしいたたずまいと、三代目店主の江上幸広さん(48)の温かい笑顔に、思わず心がほっこりとなるのです。

鏡川にかかる鑑内橋。現役で活躍しています

懐かしい魚屋さんのたたずまいを見せる、江上鮮魚店

笑顔が優しい、江上鮮魚店の三代目、江上幸広さん