平安時代の創建と伝わる塩井神社と境内にある塩井社水源

南阿蘇村は、いたるところに水源があり、人々の生活や農業に欠かせない役割を担っています。

そんな水源の一つ「塩井社水源」は、同村中松の塩井神社境内にあり“しおいしゃさん”の愛称で親しまれています。夏には涼を求める場であり、水路で野菜を洗う人の姿もあるなど、地域の暮らしとともにありましたが、2016年4月の熊本地震後に水が枯れてしまいました。

しかし今年7月に入り、2年ぶりに透明な水が湧き始め、元の姿に戻りつつあるという話を聞き、「塩井社水源」を訪れました。

周りの木々に守られるようにして、水源の池には透明な水が満ちていました。「7月ごろ、池に水がたまっていて、雨水かもしれんと思いつつも、消防団のポンプで水を排出してみると、透明な水が湧いたんです。その時のうれしかったこと」と笑顔を見せるのは、消防団員でもあり、これまで水源を見守ってきた後藤彰久さん(42)です。

塩井社水源の復活を見守ってきた後藤彰久さん

また30年近く、境内の掃除をしているという山戸三代子さん(75)は、「心まで潤った気分です」とうれしそうな笑顔を浮かべ、神社に置かれたノートを広げて見せてくれました。そこには、観光客や村民から「水が湧きますように」など水源の復活を祈るメッセージの数々が寄せられていたのでした。

「水が湧いて、元気をもらいました」と山戸三代子さん

境内にあるノートには「水が出た!」など喜びの声が

塩井社水源近くの棚田では、水が枯れて稲作ができなくなったことで、若手有志らによる新たな動きも生まれました。

「水が枯れた田んぼに落花生を植えて、村を元気にしたいと思いました」と話すのは、兵庫県出身で水源に魅せられて、4年前に南阿蘇村に移住してきた前畑恵梨子さん(34)です。

水が枯れていた頃の塩井社水源(前畑さん提供)

落花生の畑を作って地域振興を呼びかけた前畑恵梨子さん。娘の知生(ともき)ちゃん(奥・4)と千紘(ちひろ)ちゃん(1)も大喜び

前畑さんらは落花生のオーナー制度を始め、県内外から20組の人たちがオーナーになってくれました。「今後も、場所を変えて落花生を栽培し、地域の名産に育てたい」と意気込みます。“しおいしゃさん”の存在は、新たな活力を地域にもたらしているようです。

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