みずみずしい「益城スイカ」。関東・関西方面に出荷されるほか、「よかよかうまかとれたて市場益城店」で販売されています

さて、熊本県で日本一の生産量を誇る農産物の一つがスイカ。県内各地で栽培されていますが、益城町は、冬から食べられる早出しスイカの産地として知られています。珍しいだけでなく、スイカ本来のシャリッとした歯ざわりと完熟の甘さで関東・関西を中心に全国から引き合いがあります。

町の北東部、阿蘇外輪山の裾野に広がる田原地区で、父の代からスイカ栽培を続けている水村善継さん(47)の畑を訪ねました。その日は手がかじかむほどの寒さ。奥行き70~100mもあるビニールハウスに入ると、春のような温かさに人心地がつきました。

大きなビニールハウスの中にさらにビニールハウスを二重、三重と重ねて建ててあり、太陽の光と熱だけで加温でき、冬でも甘いスイカが実るそうです。ハウスの中には青々と茂る葉の間から、丸々と育った小粒のスイカが顔をのぞかせていました。

「最近の小玉スイカは肉質が良くなり、甘くておいしいですよ」と水村さん

「阿蘇くまもと空港」に近い田原地区の高台に広がる畑。スイカ、ダイコン、ニンジンなどが栽培されています


自然やコロナ禍との戦い それでも負けないスイカ作り

「スイカは夏の果物というイメージを逆手に取り、益城では冬から初夏にかけて出荷します。作付けの時期をずらして栽培するんです」と水村さん。とはいえ、常に自然との戦いが待っています。

水村さんも熊本地震で被災し、作業小屋が全壊。「地震の翌年には大型台風でハウスをやられ、次はアナグマの被害。山から下りてきた動物たちも必死なんでしょうね」と話します。

そして、昨年からはコロナ禍の影響が。「野菜に比べ、フルーツの需要が少なくなってしまいました」と水村さん。

「でも、嘆いてばかりいても仕方がない。精いっぱい手間暇かけて、『おいしい』と味わっていただけるスイカづくりに精を出すだけです」と笑顔を見せます。

そんな水村さんの楽しみは、その日の仕事を終えた後の晩酌。焼酎片手に好物の鶏肉の刺し身をほお張れば、「明日もがまだすぞー」と元気が湧いてくるそうです。そしてこの春からは、長男の佳樹さん(23)も就農し、スイカ作りを担ってくれるそうです。甘くておいしいスイカのように、水村家にとって実りある1年になりますように。

ビニールハウス内の作業はほとんどが中腰の体勢。水村さんの一日の疲れを癒やすのは晩酌だそうです

スイカの下には均一に色づくようにスイカを動かす作業を楽にするため、座布団のような円形のマットが敷かれています

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